加齢なる一族(義姉、私)、新国立劇場にロンサムウェストを観に行きました音譜

コールマン(堤真一)とヴァレン(瑛太)のコナー兄弟、ウェルシュ神父(北村有起哉)、ガーリーン(木下あかり)という少女の4人だけの登場人物で展開。

アイルランドの西の涯の田舎村リーナンに住むコナー兄弟が、父親の葬儀を終えてウェルシュ神父と共に戻った場面から始まる。

この兄弟はどちらも独身で、とにかく仲が悪い。それも食べ物や酒のことなど些細なことが発端で壮絶な喧嘩を繰り返している。この地に派遣され、まだ村の生活や人々になじめない神父は、おろおろするばかりで仲裁さえできない始末。
しかも、父親の死にも平然としている兄弟どころか、この村には、ほかにも肉親殺しがいるという噂…。
神父は村の殺伐とした現状に何もできない自分の無力さを嘆き、何かというと酒を手にするようになり、今ではすっかりアル中気味。

そんな救いがたい男性たちに対し、ガーリーンという少女は酒の密売で稼ぐしっかり者の17歳。可愛らしい容姿なのだが、言動はがさつであばずれ風で、何かと気弱な神父をからかったり、つっかかったりしながら神父にまとわりついている。

やがて、この最果ての地で、ウェルシュ神父は、ある決意を秘めた手紙をガーリーンに託す。
コナー兄弟のもとへと届けられたウェルシュ神父の決意は、このどうしようもない兄弟の胸に届くのだろうか・・・・。


マーティン・マクドナーは、なぜここまで、暴力的に争う兄弟を描くのだろうか?
同じマーティン・マクドナーの「ビューティ・クイーン・オブ・リナーン」を観た時は、そこには、苦しいほどの母と娘の葛藤があり、私にもその心情が理解できたのですが・・・・
今回は、兄弟の救いのない争いは、これからもずっと続いていくんだわと諦めに近い感情しかわきませんでした。

男という生き物には、こんな面があるのかもしれませんね・・・・。
如何に相手の上に立つか?
そういう争いを大昔から世界中で永遠と繰り返して・・・・。

そうそうシアタートラムで観た「トップドック/アンダードッグ」も兄弟二人だったわ。
常に相手より優位に立とうと、争いじゃれ合いながら、たった二人で生きてきた兄弟・・・。

それにしても、堤さん演じる兄コールマンのひどい仕打ちには、唖然としたわ!
ふざけた様子で淡々と悪事をするコールマンには、ぞっとする怖さがあり、深い心の闇を感じました。
それなのに、ヴァレンは、結局、兄の後を追って出て行ったから、とっても不思議だったわ。

でも、愛すると憎むが、実は同じ根から生えているように、兄と弟も根は同じ・・・。
なぜか、離れられないのかも。