半世紀ちゃんが行く~。-120303_081638.jpg


加齢なる一族(友人と私)、水天宮ピットに「THE BEE」 を観に行きました音符
平凡なサラリーマン井戸(キャサリン・ハンター)が妻子を人質にとられたことで、自らも犯人・小古呂の妻(野田秀樹)と子(グリン・プリチャード)を人質にとり応酬する・・。


はじめこれは、コメディーなのかな?と思いながら、平凡なサラリーマンの井戸の妻子が人質にとられ、慌てる様子を観ていた。
やがて、井戸は、犯人の妻子を人質にとり、子供の指を一本犯人に送りつける。さすがに、これは、悲しくも恐ろしい話だと気がつく・・。
すると、犯人も、同じく井戸の子供の指を送りつける。犯人と平凡なサラリーマンだったはずの井戸は、相手の子供の指を送り続ける・・。
井戸が犯人の子供の二本めの指を切断してから、私の目から涙が溢れてきた。
何故涙が出てくるのか?自分の感情が、はっきりわからなかったけれど、小さな劇場で、目の前で演じる俳優達から発っせられるの気迫に、強く感情を押され、涙が出たのでしょう。

キャサリン演じる井戸は、小柄で平凡な人物だったのに、次第に復讐者に変わり、ついには殺人犯に成り果て、ラストには自らの命さえも・・。
いつの間にか、残虐な行為、暴力になれ、それをたのしんでいる人間の恐ろしさ。
残虐な行為、暴力が日常的となると、小古呂の妻や子供は、井戸の残虐な行為、暴力を受け入れ、ついには自ら指を差し出す・・。
何と悲しく、何と哀れな!
人間とは、こんなにも簡単に壊れて行くのかもと思うと恐ろしくてたまらない。キャサリンのエスカレートしていく狂気も、素晴らしいけど、野田さん演じる小古呂の妻とグリンの子供が、物悲しくてね・・しょぼん

あっという間の75分の作品。野田さんらしい笑いの部分もあり、より観客の感情の振り幅は大きい。彼の計算通りに感情はうねり、彼に捩伏せられる。

帰り道、いろいろ考えたけれど、結論としては、野田秀樹って、やっぱり凄い!