
先輩方もすなる揉み紙といふものを、私もやってみたいな、とてするなり……、と、今描いている作品に揉み紙を使うことにしたのは9月のことでした。
「揉み紙」というのは最近中野先生や多くの会員の皆さんが取り入れている手法で、(まだ良く理解していないので上手く説明できるか自信がないのですが、)文字通り色々な色を塗り重ねた紙を手で揉み、それによって塗った絵の具が部分的にはがれて下の色が現れる、その風情を画面構成に活かします。場合によっては、揉んで付けた折れ目の山部分や谷部分に更に絵具を差すことによって、また独特の効果が楽しめます。
次の新春展に出す作品を、是非これを使って描いてみたい!
という気持ちだけで見切り発車してしまいました。
と言っても、これまで先生や他の生徒の皆さんにあれこれ美しく揉まれた紙を見せて戴いたことがあるだけで、自分では全くやってみたことがなく、何をどうすれば良いのかも分かりません。
それ以来、折々お仲間の有難さを身に沁みて感じながら、作業を手探りで続けています。
同教室のYさんが揉み紙にぴったりの紙を実費で分けてくださったり、大きな机を二つ占領して先生の言われるままに訳も分からず下塗りを始めた私を、揉み紙先輩の方々を始めとする教室の皆さんが見かねてあれこれ手伝ってくださったり……。教室後のお茶でよくご一緒するKさんは、「(揉み紙の下塗りのために絵具を吹きつける時)最初は加減が分からなくて失敗もするかも知れないけど、私だってYさんだってみんな失敗したし、あんまりがっかりしないでとにかくやってみてね」と、とても嬉しいアドヴァイスをくださいました。
そうして絵を少しずつ描き進める中で改めて感じるのは、中野先生のお人柄と指導法の大らかさと温かさです。
上の画像は、今回下塗りの絵の具を色々塗り重ねるのに大活躍してくれている陶芸釉薬用の霧吹きなのですが、実は先生が
「これ使ってみな」
と仰って、ポンと貸してくださいました。
先生は良くそうして、生徒が(時には力量も弁えず^^;)自分にとって初めてのことに挑戦しようとするとき、必要な小道具や材料を惜しげもなく貸して下さいます。
そのようにして折に触れて少しずつ背中を押して戴くことで、絵に思ってもいなかった効果を取り入れることができて、何だか自分の力以上の絵が描けたような気になれることもあり、そうしたときは本当に絵を描くことが楽しく思われます。
みなもの会に入って良かったと思うことのひとつです。