~動き出したもの~
梅小路さんの寝室の絵。
夜中に絵から描かれた女の子が抜け出してくるという怪事件。
私たちはカメラを梅小路さんの寝室にセットして・・・。
そして一夜が明けました。
回収したカメラを持って登校してきた梅小路さん。
あんまり眠れなかったのか、眠たそうでした・・・。
放課後、録画された映像を見るため私たちは部室へ。
やっぱり眠そうな梅小路さん。
「まだ眠そうね。珍しく授業中居眠りしてたし。」
「見ていたのならどうして起こしてくれないんですの。」
「私は廊下の端っこの席で、あんた窓際の端っこの席じゃない。」
「無理もないですよ、夜中におかしなこと起きるって分かってたら、私も怖くて眠れません。」
そう言いながらみゆみゆは梅小路さんに缶コーヒーを渡した。
いつの間にか買ってきていたらしい。
「ありがとう。気が利く子ですわね。よかったら私の家に・・・。」
「メイドさんとして雇うつもりか。そうはさせない、メイド服のみゆみゆは誰にも渡さない!」
なんでメイド服限定なんだ。
「あなたにはちとせさんがいるでしょう。」
これこれ。
「かわゆい女子はあたしのものじゃ。」
「はいはいはい、映像見ましょ。」
ストッパー瞳美、参上。
部室のPCに映像が写し出された。
「・・・なんだかみんなで私の寝ているところ見られるの恥ずかしいですわね。」
「カメラは絵のほうに向けられてるので、よほど動かない限りは梅小路さんは写り込まないと思いますよ。」
カメラは梅小路さんのベッドを挟んで絵の正面に設置されていた。
この位置だと梅小路さんは布団の掛かった足の方しか写らない。
・・・。
絵はしばらく変化無し。
ゴソゴソっと布団が動いた。
「サクラの方が動き出したぞ。」
梅小路さんが布団から起き上がりベッドを離れた。
「・・・おトイレですわ。」
しばらくして梅小路さんがお部屋に戻ってきた。
梅小路さんがふたたびベッドに入って一時間ほど経過した時・・・。
「お、絵が・・・。」
壁に掛かっていた絵に変化が起きた。
少しカタカタ揺れたと思うと・・・。
描かれていた女の子の絵がボンヤリし始めて・・・。
「あ、ああ・・・」
絵の前に霧のようなものが広がった。
そして、霧がだんだん何かの形を成してきて・・・。
それはやがて女の子の姿になった。
まちがいない、あの絵の女の子だ・・・!
~つづく~