~甲冑男・解決編~
鈴城くんの大活躍?でバラバラにされた2体の甲冑男。
その正体はロボットだった。
さらにオバケ屋敷から現れた白衣のおじいさんは・・・。
「こ・・・これは・・・。」
おじいさんは庭に広がる光景に驚いた様子だった。
無理も無い。
見知らぬ私たちと、バラバラになった甲冑男と、今も手をバタバタ動かしながら倒れている”目あり君”が庭を占拠しているのだから。
おじいさんにとってはおそらく人生で初めての光景ではないだろうか。
・・・てかおじいさん誰?
「失礼ですけど、こちらのお屋敷に住んでいらっしゃる方ですか?」
真っ先におじいさんに声を掛けたのは瞳美だった。
「そうだが・・・これは一体・・・。」
「私たちは『不思議研究部』のものです。実は甲冑男を探索していまして・・・」
・・・。
「はっはっはっ甲冑男か。」
私たちはおじいさん=この家に住んでいる元吉(もときち)さんオバケ・・・お屋敷の中に招待された。
今、お茶を出されて談話中。
「すみません、ずっと誰も住んでいないのかと思っていたものですから・・・。」
「そうじゃな、まあ無理もないじゃろ。夜はずっと地下の研究室に篭っておったからな。」
「それでロボットの研究ですか・・・。」
そう、あの甲冑男は元吉さんが作ったものだった。
なんと10年以上も続けていたのだそう。
「ようやく自分の思い通りのものができて、テストで外を歩かせていたんじゃ。まさか甲冑男などという噂が広まってるとは思わんかったがな。」
「どうして夜に歩き回らせたんですか?」
「たいした理由などありゃせんよ。昼間は車が通ってもし何かトラブルが起きたら危ないじゃろ?夜はこの辺はほとんど車は通らんからの。もっと安全に作動することが確かになったら昼間でも動かすつもりでいたが・・・。」
「その前にたっくんがバラバラに・・・。」
「・・・すみませんです。」
「いや、夜にあれが迫ってきたら化け物と思われても仕方ない。また直せばいい。」
・・・よかった、許してもらえて。
「でも、あのロボットをその後どうするおつもりだったんですか?」
「ん?知りたいかね?ならばわしについておいで。」
おじいさんは座っていたソファーを立つと、私たちを地下室へ案内してくれた。
地下室にはロボットを作る作業場のような部屋と、もう一つ扉のあるお部屋があった。
おじいさんがカードキーとボタンで扉を開けた。
すると・・・。
「わあ・・・。」
そこにはたくさんのロボットがあった。
動物の形をしたロボットや、人間そっくりのロボット、SF映画にでてきそうなものまで・・・。
「ロボットの倉庫ですね。」
「うむ、いずれはこの屋敷や土地をロボット・ハウスにして、子供たちの遊び場にしようと考えておるのじゃ。これらはその試作品や完成品の一部じゃ。」
「すご~い。」
「わしは子供の頃マンガで見たロボットが好きだった。わしが大人になる頃には世界はロボットと人間が同じくらいの数で生活しているようになっていると思っておったが・・・わしの思い描いていた世界になるにはまだしばらく時間がかかりそうじゃ。」
「それで、このお屋敷だけでもロボットのたくさんいる世界にしようとしていたわけですか・・・。」
「うむ。」
すごい夢。
またそれを実現させようとしているのがほんとにすごいなあ。
「・・・一つ気になってるんですけど。」
「なにかな?」
「ご兄弟いらっしゃるんじゃないですか?お兄さんか弟さん。」
「昔ケンカしたとかって・・・」
「兄ならおるが・・・いやあ別にケンカなどしておらんぞ。」
・・・へ?
と、そのとき背後から足音が。
「元吉どうした!?わしのロボットの反応が消えてしまったが・・・。」
それは元吉さんのお兄さんだった。
元吉さんの考えに賛同して、お兄さんもロボットの研究をしていて・・・。
あの鎧武者の方のロボットはお兄さんが作ったもので、その完成品を見てもらおうとここまで歩かせてきたんだって。
お二人はケンカ別れしたわけではなくて、新しい研究室ができたのでお兄さんがそっちに移っただけの話しだったってわけで・・・。
・・・お兄さんも事情を話したら笑って許してくれました。
元吉さんたちの夢が一日も早く実現するよう願いつつ、今回のミッション終了。
~つづく~