~新たなる謎~


 残念だけど、甲冑男は取り逃してしまった。


 確かにいることが分かっただけでも一歩前進だけど。


 翌日。


 昼間にみんなで甲冑男を見失った場所まで行ってみた。


 「昼間だとやっぱり印象違いますね。」


 辺りをグル~っと見回しながらみゆみゆが言う。


 十字路を中心にまばらに家がある。


 東の方はトンネルのある山が、西は空き地?でほとんど建物は無い。だいぶ離れた所にガソリンスタンドが見えるけど。


 北は昨日も通った住宅街。


 南は二百メートルくらい先かな、川が流れている。


 「人目に付かずに逃げるとしたら山の中か、川でしょうか。」


 くーみーが何か機械で辺りを探っている。


 金属探知機みたいなものなのかな?


 山か・・・。


 あれ?あの山って・・・。


 「ねえ、あの山の向こう側ってさ、トンネルあるよね?」


 「トンネル?そうね。」


 「トンネルがこっちの方で・・・。」


 昨日走ったトンネルの大体の位置を左手で示してみる。


 「こっちの方なんだけど・・・」


 左手をトンネルの方に向けたままにして、右手を動かす。


 「この辺あたりにあのオバケ屋敷あるんじゃない?」


 例の洋館だ。


 「あ、そうですよ、その辺です。」


 「ん~やっぱり怪しいかな、あのオバケ屋敷。」


 みゆみゆも人影を見たって言ってたし。


 「・・・調べてみます?」


 「オバケ屋敷は好きだ。」


 遊園地のアトラクションじゃないんだけど・・・。


 「そうね、でもそれならまずあのお屋敷がどういうものなのか先に調べてみましょう。甲冑男と何かつながりが見つけられるかもしれないし。」


 

 それから私たちはオバケ屋敷の近所に住む人たちに、お屋敷のことを聞いて回った。


 二時間ほどして、お屋敷の近くにある公園にみんなふたたび集まった。


 「聞いた話だと、あそこには昔40歳くらいの兄弟が住んでいたようです。」


 「10年以上前にケンカして、お兄さんか弟さんかどちらかが出て行ったって聞きました。」


 「それ以来ひっそりとして、今は誰も住んでいないんじゃないかって事らしいけど・・・。」


 「私が聞いたのもくーみーやみゆみゆたちと似たような話しね。」


 「ジョンという愛犬がいたそうだ。」


 「あのお屋敷の周りは人の入れ替わりが多くて、昔から住んでる人ってそんなにいないみたい。私の方はほとんど良く分からないって言われちゃった。」


 少しだけ情報らしいものが得られたけど・・・。


 「でも・・・」


 「なに?くーみー」


 「人が住んでいなかったらもっと荒れてるような気がするんですよね。こう雑草とか。」


 「でも、夜とか電気ついてるとこ見たこと無いって近所の人が・・・。」


 「みゆみゆは人影を見たのよね?」


 「はい。・・・時間が経ってみると、ほんとに見たのかちょっと自信無くなってきちゃいましたけど・・・。」


 「その住んでいた兄弟というのが何者だったのかよね・・・。」


 「ええいめんどくせい!突入だ!!」


 みさとの結論。


 「そうね、今のところ甲冑男との接点は見えてこないけど、やっぱりあのオバケ屋敷は調べてみる必要がありそうね。」


 そして夜、オバケ屋敷への潜入が決まった。


 ・・・昼間じゃだめなの?



 ~つづく~