~消えた人~


 私たちを付けていたと思われる人がいなくなって・・・。


 「どうしたんだ、アネット。」


 アネットのご両親かな?驚いた様子でこちらにやってくる。


 ああ、そうかいきなり見知らぬわたしたちがこんな人数でゾロゾロ入ってきてたら驚くのも当然か。


 「アネット、その人たちは?」


 上品な貴族のおじ様といった雰囲気の人だけど・・・なんだろ、この嫌な感じ。


 「話したでしょ、この町で起こってる事件を解決してくれるかもしれない人たちよ。」


 アネットの様子が・・・私たちには穏やかな接し方なのに、お父さんには妙に突き放したようなものの言い方するんだなあ。


 年頃の女の子にはありがちなことではあるけど・・・。


 「こちらへ、お部屋へ案内います。」


 アネットに促されて私たちは三階へ。


 「・・・お父さん、嫌いなの?」


 それとなく聞いてみたつもり。


 「・・・お父さんじゃありません。」


 ?

 

 「あの人はお父さんの弟で・・・叔父さんです。」


 「じゃあ叔父さん夫婦と暮らしてるの?お父さんたちは?」


 「・・・私が小さい頃、両親は亡くなりました。」


 そうなんだ・・・。


 「ごめん・・・。」


 「いえ・・・こちらです。」


 階段を上がって左手を示すアネット。


 「こちらの三部屋をお使いください。叔父たちにもそう話しておきますので。」


 私たちは与えられた三つの部屋にそれぞれ分かれた。


 リシェルさんとポニーちゃん、スフィーさんとアギさん、で、私とレンちゃんとメアちゃんだ。



 レンちゃんたちと部屋に入った。


 「アネット、叔父さんたちと仲良くないみたいね。」


 「メアちゃんもそう思った?」

 

 「・・・興味は無いけど、引いてみて。」


 レンちゃんがタロットカードを差し出した。


 引いてみる。


 ”塔”のカードだ。


 「・・・争い、裏切り、失われる愛情・・・」


 「嫌な言葉ばっかりね。」


 レンちゃんは意味深にふふ・・っと笑みを浮かべた。


 

 ・・・何だか外が騒がしい。


 窓を開けてみると、通りを何人かの人が走っていた。


 「まただ。」


 「今度は誰だ!」


 そんな言葉が聞こえた。


 「なにかあったのかな・・・。」


 ドンドンドン!


 「大変です!」


 激しくドアをノックするアネットの声。


 ドアを開けた。


 「どうしたの?」


 「また人が消えました!液体になって・・・!」


 私たちが町に来て最初の事件が起きた。



 ~つづく~