~戦慄!自習時間!!~
「ほら~とにかくみんな席に着く!」
落ち着きが無いというより、目の前の光景は漫画の世界なんだけど。
「モフ、モフモフ、モフ。」
「ああ、モフモフくん。なに?」
巨大な動くモップのようなモフモフくん。異次元から来た生物だ。
「プリントの字が分かんないんだって。」
ルーシェが答える。
「じゃあルーシェ、通訳してあげてよ。」
「え~やだめんどい。」
「お札で封印するわよ。」
「は~い。」
素直でよろしい。・・・あ、通訳必要なのはモフモフくんだけじゃなかった。
後ろの席で宇宙服着てるエカルゲくん。
遠い星から来た宇宙人の男の子だけど、地球の気圧では宇宙服着ないと外出できないとか。
・・・宇宙服のおかげでまともに顔見たことないのよね。
「エカルゲくんは大丈夫?」
「ホンヤクキヲツクッテキタノデダイジョウピ。」
・・・最後のピが気になるけど、大丈夫みたいね。
「じゃあプリント後ろの人に回して~j終了時間5分前に回収するからね~。」
「終わりました~。」
「ええっ!?」
プリント配布した直後くらいに声が上がった。
声の主はタカシくん。天才科学者の息子。
「もう終わっちゃったの?」
「はい、後は本でも読んでおきますね。いいですか?」
「・・・まあ終わったのなら、他の人の邪魔しないでいてくれればいいんだけど。」
「じゃあタカシの見ればいいじゃん。見せてくれ。」
横からタカシくんの机に手を伸ばしてきたのはユウ。私とはなぜかずっとクラスが一緒のいわゆる幼なじみというやつだ。
「そんなズルはダメ!自分で解きなさい。」
「けち。」
何とでも言え。
・・・ようやくそれなりに落ち着いた。
では私は自分の席へ。
「アリス♪」
黙々と私の横の席でプリントをやっているのは私の家のお隣に住んでいるアリス。
アリスのお母さんはその昔地球を救うためにやってきた宇宙のスーパーヒロインで、大活躍していた。
今はスーパーヒロインは引退して普通のお母さんになっている。
アリスのお父さんはというと、アリスのお母さんを助けていた地球の青年科学者で、そのパートナー関係から恋愛に発展したというわけだ。
お母さんの血を受け継いだアリスはとんでもないパワーを持った新たなスーパーヒロインでもあるのだ。
まあでも、テレビに出てくるような悪者はこの町にはいないからごく普通の生活してるけどね。
アリスも幼なじみではあるけど、ユウとは桁違いよ。
私はアリス大好きだから。
そりゃあもう世界中を敵に回してもいいくらい。
「・・・またいいんちょ怪しいオーラ出してる・・・。」
「ああいう時は話しかけちゃだめよ。」
~ところかわって~
怪しげなお城のような建物。
建物の前に立つ巨大ロボ・ゴーリキ2号。
「ではゴン太郎。行ってくるぞ。」
今まさにゴーリキ2号に乗り込もうという男・ガルゲーズ博士。
「お帰りは早いだか、だんな。」
「夕飯までには戻る。」
「じゃあシチュー作って待ってますだ。」
「サラダも忘れてはならんぞ。」
「へい。」
ガルゲーズ博士はシートに座り、コックピットのハッチが閉じられる。
ゴーリキ2号のバーニアが点火される。
ゴォーーーーッ!
「では行くぞ。」
ガルゲーズ博士がレバーを引くと、ゴーリキ2号は空へと飛び立った。
上空で方向転換し何処かへ飛び去るゴーリキ2号。
手を振るゴン太郎。
「・・・あんなもん造って、どこへお出かけだべか。」
ゴーリキ2号はもう見えなくなっていた。
~つづく~