あをによし奈良の都の一人旅・それなら奈良行こうの旅~その8
旅の時期/日数:2月初旬/二泊三日
◆万葉集の舞台と素晴らしいキトラ◆

 

 

石舞台古墳、酒船石、飛鳥寺とブラタモリ(飛鳥編)と同じようなルートを辿って飛鳥路を散策している続きから。。


次に目指した場所も4/18のブラタモリで紹介されていた甘樫丘。

自分が訪れたのは2月なんだけど、後追いするようになっていてなんだか悔しいえーん


飛鳥の中心に位置する標高148mの小高い丘。
蘇我蝦夷・蘇我入鹿親子がその権勢を天下に示すために、丘の麓に居宅を築いたといわれる。

麓に車を停めてミニ登山。甘樫丘展望台を目指す。
途中の路には万葉の植物園路と名付けられた散策路があり、万葉集などに登場する40種の植物名当てクイズを楽しみながら歩くことができる。
ほとんど解らなかったけど。。

15~20分ほどで展望台に到着。

遠くに生駒山や金剛山系を望み、近くには大和三山、藤原京、飛鳥京などが見渡せる。


大和三山は左から畝傍山、耳成山、香具山。

ちょっとわかりづらいのでアップで。


左手前の山が畝傍山。大和三山の中で最も高い山で死火山。

麓には神武天皇が宮をおいたところとされていて現在は橿原神宮がある。

次の写真の左が耳成山で右が香久山。


耳成山も死火山で三角錐のバランスの取れた美しい形をしている。
香具山には風土記で天から降ってきたという伝承が残り、大和三山の中で最も神聖視された山。そこから「天の香具(久)山」とも呼ばれる。


小倉百人一首にも登場する持統天皇の歌「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天香具山」を思い出す。
一般的にこの歌はのどかな初夏の風景を詠んだ歌として知られているが、当時は歌に様々な思いを込めていたので、教科書で教えるようにのどかな風景を詠んだだけとして見るのは一面しか捉えていない。
持統天皇は天智天皇の娘であり天智天皇の弟・天武天皇の后でもある。
しかも、天武天皇に嫁いだ天智天皇の娘は四人もいてその中の一人。
おまけに、天武天皇は壬申の乱で天智の皇子から皇位を手に入れた人間。
こういった複雑過ぎる事情を考え合わせると、歌に違った側面が見えてくるのだけれど、語りだすと長くなるので省略する。
ちなみに同じように天智・天武両天皇と関わった女性の額田王が作った「茜さす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」も研究するほど違った側面が見える深い歌だ。


展望台には飛鳥が栄えていた頃の地図がある。


飛鳥宮や飛鳥寺を中心として多くの施設が作られていたことがわかる。

現在のその方面を見れば、のどかな田園風景が広がるばかり。


いくら想像力を膨らませても、かつてここが日本の中心だったとは思えない景色。

日本、いや世界各地にかつては・・・という場所があるが、見る度に栄枯盛衰、あらゆるものが無常なのだと思わずにはいられない。
今いる場所が無常ではないと盲信しているのは現在生きている人間ばかり。


甘樫丘を降りて飛鳥駅の近くでお昼ごはん。
「明日香 ごま団子 ○や」さん。
最近のたい焼きのように中身が選べるごま団子が売りのお店だったらしいのだけど、ごま団子は食べずに生姜焼き定食を頼んでしまった。すみません。

自分が関東弁だったからか、優しいおばさんがお味噌汁は粕汁仕立てだけど大丈夫かと確認してくれたけど、とても美味しかった。


飛鳥路散策後半は高松塚古墳から。
近くの村人がショウガを貯蔵するために掘った穴から石室の一部が見つかったのが古墳発見のきっかけ。
その後本格的な調査をした際に極彩色の壁画が見つかり、世紀の大発見として日本中でトップニュースとなり、発掘作業は国家プロジェクトへ発展したというトントン拍子ぶり。
ただし、すでに盗掘されており、埋葬品などはわずかしか発見されなかったのは残念。


辺り一体は公園として整備されていて古墳の前には壁画に描かれた星宿をモチーフにした星宿の広場と名付けられたスペースがある。

とても素敵なネーミング。

ここで天体観測会も開かれているようだ。


古墳自体は小ぢんまりとしていてこれがあの有名な高松塚古墳か~と感じるくらい。


古墳時代の終わり頃はこういった小さな古墳が主に作られていたようだ。

すぐ横には高松塚壁画館があり、 極彩色の壁画の模写や復元模型が見られる。

※公式サイトより。
高松塚古墳の壁画はカビの大量発生や劣化などの様々な問題から、12年にも及ぶ修理が行われ、今年3月26日に終了した。
ということは訪れた時は終了間際ってことだったらしい。


次に訪れたのはキトラ古墳。
1983年11月7日に高松塚古墳に続き日本で2番目に発見された大陸風の壁画古墳。
駐車場に車を停めて向かうと「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」と呼ばれる施設を通って古墳に向かうことになる。


この施設が非常に素晴らしくて、しかもなんと入場料無料。
 

キトラ古墳の壁画を細かく説明してくれる。

石室天井部分の天文図の高松塚古墳とキトラ古墳の違い。

キトラの天文図は東アジア最古の天文図でそれを再現した天井スクリーン。

実物大の石室は本物を覗いているように作られている。

本当に素晴らしくて充実した施設。
こういう所にお金をかけられる国は素晴らしいラブラブ
利権絡みとかくだらないことには使ってほしくないプンプンプンプン


施設を通り抜けた先に古墳がある。

こちらも小ぢんまりとしていて高松塚古墳に似ている。

それもそのはず、キトラ古墳発見の経緯は、高松塚古墳が発見された後、付近の住民から「近くに似たような古墳がある」と知らされてから始まったものだったのだ。
しかも、キトラ古墳は盗掘されておらず、埋葬されていた人物の骨や埋葬品も発見されるという奇跡だったのだ。

手前にあるUFO的なものはこの辺りの地形を再現したもの。


何故銀色なのかは不明。

キトラ古墳にて奈良の観光は終了。
京都駅まで戻って、新幹線にて帰宅。

比叡に沈みゆく夕日を眺めながら夕ご飯。


ビフカツが見当たらなかったため、ローストビーフ寿司と一番搾り。

来るときにはほとんど雪がなかった伊吹山もかなり白くなっていて、夕日を浴びてほんのりピンク色。

 

 

初めての奈良旅行。
これまであまり興味がなくて訪れていなかったことを後悔するくらい魅力に溢れた場所であった。
今回は訪れなかった吉野などにも行ってみたいなぁ。

あおによし奈良の都の一人旅いつか二人で桜の頃に



あをによし奈良の都の一人旅・それなら奈良行こうの旅~おわり

の、はずが、、、、
旅行出発数日前にうさこさんから旅行帰宅日を1日遅らせてほしいとの依頼があった。
別に仲が悪いわけではなく、うさこさんのご家族のどうしようもない事情だったのだ。
ということで、東京に戻らず新幹線を途中下車してもう1日延泊することにしたのであった。

その様子はその9にて。。

●●参考情報●●
・甘樫丘
・明日香 ごま団子 ○や(食べログ)
・高松塚古墳
・キトラ古墳
・キトラ古墳壁画体験館 四神の館