東京から一番近い離島・がんばれ伊豆大島の旅~その2
◆いきなり!伊勢海老◆



東京湾観光をしながら伊豆大島への船旅を楽しんだ続きから。。


東海汽船のジェット船大漁号を下船して初の伊豆大島上陸。
船を降りると今年2月にオープンしたばかりの真新しい岡田港船客待合所に入る。
この日到着したのは岡田港だが、伊豆大島には元町港という港もあり船はそのどちらかに到着する。
実は、その日船が到着したり出発する港は当日に決まり、その港のことを出帆港と呼ぶ。
なんだかかっこいい。
出帆港は波が高かったり風が強い日は岡田港になることが多くそれ以外は元町港らしい。

そんなことを知らずに岡田港の近くのレンタカーを予約していたので、元町港に着いたらどうしようと内心焦っていた。
でも、心配無用でその日の出帆港が元町港だった場合はレンタカー屋さんがちゃんと元町港に迎えに来てくれているらしい。
もちろんその逆もあって、この日は元町港周辺のレンタカー屋さんが岡田港に沢山迎えに来ていた。
伊豆大島一番の繁華街がある街が元町なので、レンタカー屋さん以外にも釣り船屋さんやスキューバダイビング店など多くのウェルカムボードを持った人達が次々と客をピックアップして車に乗せていった。

そんな人達を横目に我々は船客待合所を出る。
外に出るとなんだかいい匂い。サザエのつぼ焼きでも焼いているような匂いだ。
伊豆大島はいい匂いの島なのかとうさこさんと話しながら、すぐ近くにある「JSオートレンタカー」さんへ歩いて向かう。


事務所で手続きを済ませて車に向かう時、係のお姉さんが「伊勢海老食べましたか?」と聞く。
いやいや、さっき船で着いたばかりだし、お店に入っている時間なんてなかったの知ってるでしょくらいに思っていると、聞けば年に1度開催されるかどうかの伊勢海老まつりが開催中で、伊勢海老を無料で食べさせてくれているらしい。

なんだそれ???となる二人。
そんなの聞いたら出発できない。早速港に戻ると片隅に小さな人だかりが出来ている。
近付けば「いせえびまつり」ののぼりがはためいている。



おばあちゃんが伊勢海老のお味噌汁どうですか~と普通に話すくらいの音量で言っている。

 


あんまり大きな声出すと疲れちゃうからね。

お願いします!と二人分もらう。

 


美味しい!!!
身や味噌が付いた頭の入ったお味噌汁。大鍋で沢山作っているので出汁もすっごい出ている。

 


隣では香ばしい香りが。
炭火で伊勢海老を焼くお兄さんたち。

 


さすがにあれは無料じゃないだろうと思っていたら、おばあちゃんがあれもタダだよと教えてくれる。
まじで??
これも二人分もらってかぶりつく。

 


近くに居た他の観光客もこれはタダではないだろうと遠慮していたので、これも無料らしいですよと教えてあげる。
ほんとに?と半信半疑の笑顔であった。

うまい!美味すぎる!!!
生きている海老を割りながら焼いていく。



お刺身でも食べられるので焼き方もミディアムくらい。
さっきのいい匂いの正体はこれだったのだ。

伊勢海老やサザエ、アワビなどが入った海鮮あんけけ焼きそばも用意されていて、これも二人分いただいてしまった。
レンタカーのお姉さんが言っていたとおり、毎年開催されるわけではない「いせえびまつり」。
今年の大島街観光イベントカレンダーにも記載されていない。
台風で痛めつけられた大島を盛り上げよう、こんな時期に観光に来てくれてありがとう、そんな願いを込めて開催されたようだ。
こちらこそ、ありがとうございます。
伊豆大島に来ていきなり伊勢海老、最高だ!!!
がんばって散財しようと心に誓う。

ここでふと気付く。元町港近辺でレンタカーを借りた人達など、待合所でピックアップされてすぐに車に乗ってしまった方々は気付かず行ってしまっただろうなぁ。。かわいそうに。。

伊豆大島に上陸後、すでに1時間位経とうとしているのに未だ岡田港にいる二人。
どんだけ食いしん坊なんだ(笑)
おかわりはしていないですからね。念の為
ニヤニヤ


興奮冷めやらぬままレンタカーに乗り込み、ようやく観光を始める。
まずは、伊豆大島一周道路西岸を南下する。
元町を抜け、海岸沿いの快適な道をドライブしていると姿を表すのが地層切断面。



高さ約24メートル、長さ630メートルに渡って続く地層の断面。
昭和28年の大島一周道路の建設工事中に偶然発見されたものらしい。

専用の駐車場がないので一度通り過ぎてから今は廃止されている道に車を停めて歩いて向かう。
バスと比べるとこんなサイズ感。



かなりの迫力だ。
この地層を解析することで約1万5千年分の火山活動の歴史がわかるという。
通称はバームクーヘン。

 


確かにそんな感じだが、地層がこれだけ曲りくねるということは、どれだけ大きな力がかかっているのだろうか。

いかに伊豆大島が激動の時代を積み重ねてきたかがわかる。


この場所なんてどうやったらこういう地層が出来上がるのか想像もつかない。



枯山水の石庭なら簡単に模様が出来上がりそう。
でも、模様を付けているわけではないのだ。上から被せられてしまった先の土地はどうなってしまったんだろう。

地層の隙間から懸命に顔を出す小さな緑がかわいい。



地層の反対側に目を向けると輝く海にキレイな三角錐の形をした利島が浮かんでいる。

 


光差す海の奥にはうっすらと新島も見え、さらに奥には式根島、神津島と連なっている。
ここは夕陽の名所でもあり、黄金色に照らされた地層切断面も美しいそうだ。
いつか見てみたい。


次の目的地は伊豆大島最南端にある波浮港。
高台にある波浮港見晴台から一望する。



丸い港は元々火口だったということは知っていたけど、大津波で海とつながった後、1800年から拡張工事を開始して翌年港として完成したということは今回始めて知った。

1800年って江戸時代の寛政年間、東洲斎写楽や伊能忠敬が活躍していた時代だ。すごいね。


周囲をぐるっと丘に囲まれた素晴らしい港。

 


現在は、元町港と岡田港に主役を譲っているが、今でも漁船などが多く停泊していて比較的大きな船も接岸していた。



見晴らし台にある大きな石碑に刻まれているのが「アンコ椿は恋の花」。

 


まだ産まれる前の曲だけど、小さな頃に都はるみが「アンコ~~~~~~」と熱唱していたことを覚えている。
歌詞の冒頭に「三日遅れの便りをのせて船が行く行く波浮港」とある。
今ならジェット船で1時間45分。メールなら一瞬だけど、どちらがいいんだろうと考えたりする。
情報は早いに越したことはないのは当たり前だ。

しかし、そのスピードに付いていけず、情報過多で悪い意味で瞬時に反応する人が増え過ぎた。
情報のやり取りがゆっくりしているならば、吟味する時間だってゆっくりあるのだから。


見晴らし台から一望した後は、港まで降りて行ってお昼ご飯とする。
伊豆大島観光スポットの一つにもなっているように波浮の港は趣ある街並みが魅力。



かつて遠洋漁業の中継港であった時代には、大変な賑わいをみせていて旅館なども多く建ち並んでいた。
細い通りには当時を偲ばせる造りの家々が続いている。

その一角にあるのがお目当ての「港鮨」さん。

 


お店に入るとあいにく満席。空き次第電話をくれるというということで、もう少し波浮港を散策。

明治~昭和初期にかけて文人墨客が多く訪れたこともあり「文学の散歩道」と名付けられた道が整備されている。



川端康成「伊豆の踊子」の旅芸人一座は出身地が波浮港だと言われていて、踊り子が踊っていたという旧港屋旅館が、資料館という形で現在も残されている。



ノスタルジックな建物であったが、台風15号の被害により閉鎖中であった。
南向きの斜面に建てられているだけに、古い建物はひとたまりもなかったのであろう。

ここで港鮨さんから連絡が入る。
待ってましたとお店に向かい、カウンターに案内される。
とっても美味しいお昼ご飯のお話はその3にて。。



●●参考情報●●
・JSオートレンタカー
・地層切断面
・波浮港
・港鮨