今回は、EPSを紹介します。転換社債があったり、ストックオプションがあったりと、シンプルな資本構成ではないケースが中心になります。


3.EPSの分析

Basic EPS

EPSの基本ですね。単なる割り算です。優先株配当を当期純利益から引きます(普通株主のものではないので)。


公式:(当期純利益-優先株配当)/加重平均発行株式数


加重平均発行株式数

これを紹介しておかないと、上の公式が理解できないと思いますので、紹介します。発行株式数は、期末の株式数を使っているのではなく、株式数の1年間での変化を考慮します。


①1/1:10,000株

②4/1:2,000株発行

③10/1:1,000株自社株買い


期間で加重平均します。①10,000株だったのは、1月から3月、②発行後12,000株だったのは、4月から9月、③自社株買い後、11,000株だったのは、3か月。


10,000*3/12 + 12,000*6/12 + 11,000*3/12 = 11,250


Complex capital structure

転換社債、ワラント、オプション等が資本構成にあるケース。無いケースは、simple capital structureと呼ばれます。


公式

分子:当期純利益-優先株配当+転換社債の支払い金利(税引き後)

分母:加重平均発行株式数+転換による株式数調整


分子に関しては、転換社債が普通株式に転換されると、支払い金利がなくなります。ただ、金利支払いによる税金の控除があるので、税引き後の金利を戻します。分母に関しては、転換により株数が増えますので、調整します。


転換仮定法(if-converted method)

①金利(税引き後)や優先株配当(税金関係なし)がなくなる

②転換によりキャッシュが入ることはない

③希薄化しないケースもある


自己株式法(Treasury Stock Method)

①転換によりキャッシュが入る

②そのキャッシュを使って、平均株価で普通株を買い戻す(平均株式が行使価格よりも高いこと)。これによって、株式数の増加が押さえられる(希薄化の影響が小さくなる)


自己株式法の例題

これは重要なので慣れましょう。

①当期純利益:$1,800,000

②平均発行株式数:600,000株

③ストックオプション:行使価格$40で、50,000株

④平均株価:$60


オプション行使によるキャッシュインフロー:50,000株*$40(行使価格)=$2,000,000

自己株式法:$2,000,000/$60=33,333株を買い戻す


Diluted EPS = 1,800,000/(600,000+50,000-33,333)= $2.92


計算問題なので、問題練習で慣れましょう。