8月5日(土)午前2時40分 

 準夜勤務を終えて、寮へ帰り入浴し、空腹だったので間食を食べ、週刊誌を読んでいたらこんな時間になっていました。 

 直は、今頃ぐっすり、眠っている事でしょう。 

 昨晩は、電話ありがとう。 

 きっと、電話があるだろうと思いながら、張りきって勤務していました。 

 元気そうな、声を聞けて、安心しました。 

 直の転勤だけど、何処へ行こうが、東京と四国なら、今までとそれほど変わりないと思ってます。 

 しかし自分の部屋が、松山の家にせっかく出来たのに残念だね。 

 新しく購入した、車の手入れをしていますか。 

 直のことだから、きっと大切に、取り扱っているのでしょう。 

 今度四国へ行った時に、乗せてもらいますね。 

 四国での写真だけど、わりと良く撮れてました。 

 自分でも、ハッとするようなのが何枚かあり、直カメラマンに感謝しているところです。 

 写りの良い写真を、宮崎の家に送ろうかと迷ってます。 

 母からの便りが7月31日にあり、宮崎へ帰っておいでという内容でした。父も母も年をとってるので老後の心配をしているのでしょう。 

 よく考えてみると、年老いた二人を見放すことは、私には出来ません。 

 家族会議を開いて、兄に家の後継ぎをしてほしいと、頼んでみます。 

 私の両親にしてみれば、22歳にもなった娘を、子供の頃と同じように思い、何かにつけ心配ごとも減らないようです。 

 そして結婚については、故郷宮崎の人との話しを進めています。 

 直については、直自身を批判することもなく、四国の人であるがゆえ反対しているから私にすればそれが腹立たしいのです。 

 そんな家庭事情もあり、私が両親にあれこれ言ったところで、どうする事も出来ません。 

 やはり、1年あるいは2年後に、この事は分かるのでしょう。 

 四国へ行った時に話したけれど、1年間は働き、奨学金を少しづつでも返さなくてはならないのです。 

 でも、本当は2年間なんだけど、残りの1年分は働いたお金を貯金しておいて、奨学金の残額を返済しようと考えてます。

 それまでは、のんびりと生きてゆきます。 

 いずれにしても、直のお家の方々が、とても良い人ばかりで、安心しています。 

 これから先長い付き合いになるのか、もう二度と御家族の方々にお会いすることもないのか分かりませんが、心の温かい人達であることは納得です。 

 今日の午前中は、入院していた上原さんが退院するので、そのお手伝いをして、残りの時間は趣味に費やす予定です。 

 最近は料理に凝ってしまい、ドーナツ・ゼリー・クレープ・ホットケーキ・サンドイッチ・サラダ等の気軽に作れるものをこしらえて病棟へ持って行きます。皆さん「美味しい」とお世辞を言いながらも、残さず食べてくれるので、調子に乗っては作っています。おかげで食費に随分お金をかけてしまします。 

 直は、夜になると何時もアルコールを口にしている様ですが、飲み過ぎないようにね。 

 付き合ってから、まだ一年にもならないけど、直の性格はよくわかります。 

 でも、直は千穂の性格をつかめたかな。友達からよく言われることだけど「五十嵐千穂という人間はよくわからない」そうです。 

 もしかしたら、二重人格なのでしょうか。 

 四国から帰って髪を切り、写真を撮ったので現像が出来れば送ります。 

 最近だけど、体重が少し減って、55キロになりました。 

 目標の52キロ達成が、何時になることやら。 

 この暑さを通り過ぎれば、食欲の秋となり、また元通りの体重になるのかな。 

 それでは、お休みなさい。 
 

 8月6日(日)午後7時35分 

 昨日手紙を出したばかりだというのに、また書いてます。 

 どうしてかしら。 

 その理由はよく分かってます。 

 とても寂しいの。 

 そばにいて欲しい。 

 仕事が終わってから毎日だけど、直に逢いたい・声を聞きたい・顔を見たい、町へ一緒に出かけ食事や買い物をしたい。 

 四国へ行ってからこんな思いが強くなり、今すぐにでも直のそばへ行きたい気持ちなのに、それを実行出来ないが故に苦しんでいます。 

 夜になり一人でいると、考える事はいつも同じで、直との結婚のことばかりです。 

 でも、私が宮崎へ帰らなければ、両親はどんなに悲しむことでしょう。 

 父母に何度も手紙を認めたけれど、直に会ってほしい、結婚の相手として見て欲しい、四国へ行って両親に会ったこと等を書いた手紙は、とうとう投函しませんでした。 

 千穂の両親は、私が末子であり、遠く離れて生活しているから、とても心配しています。だから突然に驚かせたくないのです。 

 今どんなに考えたって結果は出ないことだけど、ただそばにいてほしい、甘えてみたいと思っているのが私の正直な気持ちです。 

 10月か11月なんて言わないで、今すぐにでも東京へ来て下さい。 

 お願いだから、早く私の手の届くところへ来てよ。 

 本当は甘えん坊の私です。 

 でも、何時もは甘えてはいけないと、我慢してきたの。 

 今回はそれが我慢出来なくて、こうしてペンを走らせています。 

 そばに居れば二年間だって我慢出来ると思うけど、東京と四国では離れすぎているから実に長い期間なのでしょうね。 

 こんな事ばかり、毎日考えている私なのです。 

 ねえ早く東京へ来てよ。 

 せめて、9月の中旬頃には、お願いね。 

 いよいよ精神的に、変になっちゃったかな。 

 でも、仕事中は真面目にやってますから心配なく。 

 こんな手紙は、出さない方が良いのかなと迷ってます。