秋晴れの一日でした。
午前中に、食料品購入のため、スーパーへ出掛け、
家に帰ると、専業農家の人が我が家に来て、もち米の刈取りが出来るから、11時に水田へ行きたいとの要請にて、それを了解し、
自分の仕事は、二畝半(2.5a)に植え付けた、もち米をコンバインで刈取りし易いように、鎌にて淵刈りしておりました。
10時55分から刈取りを始め、11時15分に終了したのですが、
小生においては、コンバインから運搬車の桶に入った籾を家に持ち帰り、天日干しのため、青色のシートの上に移動させていたのです。
午後からは、野菜への潅水で時間を過ごしており、
作業の途中で、今日の一首とばかりに、何ぞ詠めないかと思案していたのですが、
以前に、出版社のコンテストへ応募した原稿がパソコン内に残っているのを思い出し、
最初は爽やかで、終わりは切ない物語の、手紙の部分(片道)を転記してみたく、読み直しておりました。
昭和53年1月6日(金)午後9時25分
パジャマに着替え、ベットに入ってます。
今ころ、直は何しているのかな。
今日は、直との約束をやぶり理恵に付き合い、スケートに行ってました。
おこってる?
おこらないでね!
別に悪い事をしたと、千穂は思ってないんだもん。
ただ約束を破ったのは、いけない事だと反省しています。
田舎にいると、今日あたり家族と一緒に七草かゆを食べたのでしょうが、今夜の千穂はひとり寂しく夕食をしました。
直は、今ころ友達と、お酒でも飲んでいるのかな。
明日は逢えるので、今からわくわくしています。
土曜日だから、ゆっくりできるもんね。
でも門限があるから、それまでには帰らないと。
だけど少しでも長い時間を、直と一緒にいたいと思うようになった私です。
思い切り甘えてみたいのに恥かしくて。
でも明日は甘えちゃおう。
彼女の様子はその後いかがですか。
彼女から、明日にでも会いたいと電話があったら、直は私と逢わないで彼女と逢うのかしら。
できるだけ私と一緒にいてほしい。
私のことだけ考えて欲しい。
私を幸せにして欲しい。
私は直と共に幸せをつかみたいの。
今そう思っている私が、本当の私の姿でしょう。
神様って本当にいるのかしら。
私の願い事を叶えてくれるのかな。
今とても不安なのは、直が彼女と仲直りするのではないかと言うこと。
もし直が私のこと好きで、将来は結婚したいと思っているのなら、時期的には早すぎるけど、その気持ちをはっきりと私に告げて欲しい。
普通なら付き合って1ヵ月にもならないのに、結婚の話をするのは早過ぎるけど、彼女と対等に勝負するには、結婚の話をするしかないと思うのだけど変かな。
何故こんな気持ちになっているのか、自分でも分からないのです。
3月下旬まで、2ヵ月半ほどしかないけど、ずっと付き合ってほしいな。
これからは後悔する事のないよう、何事にも気をつけて行動します。
そして出来る限り、直と彼女のことは切り離して考えます。
これからは直と一緒にいたい。
ずっとずっと一緒に。
直もそれを願ってほしい。
直に逢いたいな。
直は今頃何してるの。
直に逢いたい。
直に逢いたいのです。
早く明日にならないかな。
これから少し勉強します。
現在の時刻は午後10時55分です。
さっきだけど理恵と美代ちゃんが、お寿司を持って私の部屋へ来たものだから、三人で食べたのよ。
それでお腹いっぱい。お昼はラーメン・トースト・パイを食べたの。これじゃ肥っちゃうかな?
それより今から先は未知であり、考えていると不安でたまりません。
直が、3月下旬に田舎へ帰ったら、寂しくなります。
私たちも、遠距離恋愛をするのかしら。
でも一生に一度だけの、遠距離恋愛であってほしい。
千穂は、自分の気持ちを、うまく表現できないのかな。
気が強くて意地っ張りな私
甘えん坊で劣等感の強い私
そして貴方を愛してしまった私
愛と憎しみは紙一重と言うけれど、この愛が絶えることなく、止まることのない永遠に続く愛であることを、祈りたい。
とにかく今は信じるしかないのでしょう。
信じることの大切さ困難さを、今しみじみと感じています。
直の心の中に入ってみたい。
未知の不安を直と二人で乗り越えたい。
おやすみなさい。
最初にもらった手紙はこんな内容だったのかな。直は、遥か遠い日の記憶をたどりながら、当時にタイムスリップしたような錯覚に陥っていた。