夏海 6 | 風の痛み  Another Tale Of Minako
6.プロっぽく

「お前、本当に誰とでも寝る奴なんだな」
省吾は、ぽつんと、独り言のように言う。
ひどいことを平気で言う。
「そうよ…だから何」
(あんたなんかに…)
わたしは、唇をかんだ。

わたしは、さっきとは別のホテルを選んだ。
おじさんは、わたしが高校生なのでなるべく同じホテルを連続しては使わないようにしている。
だから、わたしは、このあたりのほとんど全てのホテルを知っている。

省吾は、ラブホは初めてなのかもしれない。
黙ってわたしの後ろをついてきた。
部屋に入ると、省吾が後ろからわたしを抱きしめた。
「いやよ…放して…」
抱かれたかったが…恋人じゃない。

「シャワー浴びたいの…いい?」
少し前に他の男に抱かれている。
わたしは、とにかくもう一度シャワーを浴びたかった。
「いっしょに入っていいか?」
「少ししてから…呼ぶから…」

わたしが服を脱ぐところを省吾はずっと見ていた。
男に見られても恥ずかしくはない。
バスルームに入って、わたしは…泣いた。
シャワーを頭からかけた。
しばらく泣いて、
それから、体中をごしごしと念入りに洗った。

(…ばーか、普通の恋なんかできるわけないんだ)
ひとつ、大きく深呼吸した。
「いいわよ」
わたしが、ドアを開けて呼ぶと、省吾は、すぐに入ってきた。
「うへぇ、広いんだ」
このホテルは、特にバスルームが広い。

わたしは、省吾を椅子に座らせ、背中を洗い始める。
普段はそんなことはしない。
おじさんとは、いっしょにお風呂に入ることもない。
わたしは、ただ…プロっぽくしたかった。
(寝る場所探して、3000円、5000円で男についていくやつらとは違うんだ)
だからと言って、体の洗い方を知っているわけではない。
スポンジにボディソープをたっぷりつけて、背中をごしごしこするだけだ。

やせてると思ってた省吾の腕も背中も意外にしっかりと筋肉がついていた。
「たくましいのね」
つい、思ったことが口に出た。
「そうかぁ?」
何気ない会話。
また、涙が出そうだ。

「こっち向いて…前も洗うから…」
今度は、できるだけぶっきらぼうに言った。
わたしのほうを向いた省吾は股間を手で隠す。
わたしは、省吾の前でタイルにぴったりとお尻をつけて座った。
今度はスポンジではなく、手のひらで洗う。

胸板もけっこう厚い。
胸から脇、お腹へと手を下ろし、股間を隠している省吾の腕をつかむと、わたしは、省吾の腕を自分の乳房に押し当てた。
省吾の指がぎこちなく動く。
わたしは、大きくなっている省吾のものを握った。

わたしの手の中で、省吾のものはときどき、ぴくんと動く。
(固い…)
わたしは固さに驚いた。
おじさん以外にも何人かと関係したけど、みんな中年だった。
(同級生なんだ)
つくづくそう思った。