清水崇文先生(上智大学言語教育研究センター/大学院言語科学研究科・教授)

日時:2021年07月25日(日)13:00-14:30

場所:Zoom開催

演題:「学習者のコミュニケーション能力を伸ばす「語用論的指導」」

 

 7月25日に、上智大学言語教育研究センター/上智大学大学院言語科学研究科にご所属の清水崇文先生がZoomでご講演してくださいました。

今回のご講演では、日本語教育におけるコミュニケーション能力、語用論的指導を中心に大変興味深い知見を拝聴することができました。

 ご講演の前半では、日本語教育の目標(学習者が日本語で「コミュニケーション言語活動」ができるようになること)から、コミュニケーションに必要となる構造と運用(語用論)の知識について伺いました。また、従来の日本語教育には構造重視という問題点があり、運用重視へ転移すべきとご説明いただきました。日常のコミュニケーションでは、「情報のやりとり」だけではなく、「対人関係の調整」も必要となってくるということから、「対人関係の調整」を果たせるようになることを目標にした授業(および語用論的指導)の重要性を伺いました。

 ご講演の後半では、指導の5つのポイント(①意図の伝達と相手への配慮のバランスを意識させる、②形式と機能と社会的・状況的文脈の関係に対する気づきの機会を与える、③教師の説明などによりメタ語用論的情報を提供する、④具体的な社会的・状況的文脈の中でコミュニカティブな運用練習を行う、⑤発話の適切さに対するフィードバック(否定証拠)を与える)についてご説明くださいました。具体的な会話例及び語用論的失敗のエピソードも紹介してくださいました。最後は、語用論的選択は学習者のアイデンティティに関わるとのことの大切さを伺いました。今後の実践授業などで取り入れていきたいと思います。

 コロナ禍の今、オンライン講演の要望に応じていただき、また参加者に大きな学びを与えてくださり、誠にありがとうございました。

 

 

≪主な御著書≫

『日本語教師のための日常会話力がグーンとアップする雑談指導のススメ』西郷英樹・清水崇文、凡人社、2018年

『コミュニケーション能力を伸ばす授業づくり 日本語教師のための語用論的指導の手引き』スリーエーネットワーク、2018年

『中間言語語用論概論 : 第二言語学習者の語用論的能力の使用・習得・教育 』スリーエーネットワーク、2009年

 

 

添付:当日のポスター、講演中の写真1枚