高梨克也先生(滋賀県立大学人間文化学部・教授)

日時:2021年01月21日(木)16:30-18:00

場所:Zoom開催

使用する書籍:高梨克也(2016)『基礎から分かる会話コミュニケーションの分析法』ナカニシヤ出版

 

 1月21日に、滋賀県立大学の高梨克也先生がZoomでご講演くださいました。

 今回のゲストセッションは、高梨先生のご著書を中心にディスカッションする形式で行うことを、小林先生と高梨先生からご提案いただきました。そこで、書籍を事前に講読できる学生のみで、高梨先生のセッションは開催することになりました。参加者全員は今回使用する書籍を事前に読み、第4章(マルチモダリティ:発話と非言語行動の共起)・第5章(多人数会話と参与構造)・第6章(成員カテゴリー:参与者の会話内での社会的属性)を中心に質問を考えました。全員が考えた質問と主な関心を高梨先生に事前に送りし、当日はこの3つの章および参加者の質問に基づきご講義と質疑応答が展開されました。

 

【高梨先生にお伝えした主な関心】(番号は添付pdf「ゼミ生の関心・質問」を参照)

●マルチモーダル研究と「視線」の関係について

●実際の文字化作業・分析について

 (例:言語行動と共起する非言語行動の正確なタイミングの記述、意図的に規則から外れた会話(⑥)、隣接ペアの「質問―回答」「依頼―承諾」の付与の仕方など)

●具体的なキーワードそのものについて

 (「side-participant」と「bystander」について、「強境界」「絶対境界」「弱境界」の違いについて)

●オンラインと対面でのコミュニケーションの違いについて

 (例:オーバーラップ(⑤)など)

●成員カテゴリーと「性格」の関連性について

●第5章「二者間バイアスからの脱出が実際に起こっている事例」について

●他言語での共通性について

 (例:発話交替におけるストラテジーや視線の向け方など)

 

 質疑応答では、参加者たちの疑問に対して、私たちにも分かりやすい具体的なエピソードを踏まえながらご丁寧にご説明いただき、且つ、終了時間を過ぎてまでお時間をいただき、非常に多くのことを学ばせていただきました。会話分析では「規則から外れた時どう修復するのか」に着目する姿勢が大事というお話や、特に発話交替では「話し手の肩の上に乗っているような視点で」分析を行うことが必要であるといったお話など、頂いた貴重なお話を録画と共に振り返りながら、実際に会話分析を行っていく際に心掛けていきたく存じます。

 コロナの影響で対面授業、講演などが行えない中、オンライン講演の要望に応じていただき、本当にありがとうございました。

 

≪主な御著書≫

『多職種チームで展示をつくる―日本科学未来館「アナグラのうた」ができるまで』

編著,ひつじ書房,2018年

『基礎から分かる会話コミュニケーションの分析法』ナカニシヤ出版,2016年

『多人数インタラクションの分析手法』坊農真弓・高梨克也共編,オーム社,2009年

 

添付:講演中の写真1枚、参加者の集合写真、「ゼミ生の関心・質問」