小柳かおる先生(上智大学言語教育研究センター/大学院言語科学研究科・教授)

日時:2021年01月21日(木)14:45-16:15

場所:Zoom開催

演題:「言語習得における記憶の役割―学習条件・個人差との相互作用」

 

 1月21日に、上智大学言語教育研究センター/大学院言語科学研究科ご所属の小柳かおる先生がZoomでご講演くださいました。

 今回のご講演では、「認知的アプローチによる第二言語習得(SLA)研究」のお話から始まり、記憶のプロセス、記憶の働きと個人差、言語適性の生得性について、大変興味深い知見を拝聴することができました。

 ご講演の前半では、記憶の分類、インプット処理と記憶の面から、認知的アプローチによる第二言語習得研究は教室指導との関係性について伺いました。明示的学習と暗示的学習を中心にご説明いただきました。また、記憶の分類における作動記憶(WM:working memory)の役割(未知情報と既知情報を結びつける言語学習の作業場)について伺いました。

 ご講演の後半では、記憶と言語学習メカニズム、および言語適性の構成要素についてお話しくださいました。その中で、音韻的短期記憶(Phonological Short-Term Memory: PSTM)について私たちにとって特に勉強になり、言語学習における音韻処理能力の重要性に気付くことができました。その後、心理学分野で開発された音韻処理のテスト(Comprehensive Test of Phonological Processing:CTOPP)のサンプルも拝聴することができました。最後は、年齢、第一言語能力、訓練可能性という3つの方面から言語適性についてご説明いただきました。

 コロナ禍の今、オンライン講演の要望に応じていただき、また我々院生に大きな学びを与えてくださり、非常に感激しました。

 

 

≪主な御著書≫

『第二言語習得について日本語教師が知っておくべきこと』くろしお出版,2020年

『第二言語習得の普遍性と個別性:学習メカニズム・個人差から教授法へ』小柳かおる・向山陽子,くろしお出版,2018年

『認知的アプローチから見た第二言語習得:日本語の文法習得と教室指導の効果』小柳かおる・峯布由紀,くろしお出版,2016年

 

 

添付:当日のポスター、講演中の写真1枚、参加者の集合写真