岡本能里子先生(東京国際大学国際関係学部)
日時:2020年1月23日(木)15:15-16:45
場所:22号館818号室
演題:コミュニケーションが「できる」とは?―LINE会話の分析を通して考える―
(懇親会会場:22号館818号室)
1月23日に、東京国際大学の岡本能里子先生がご講演にいらしてくださいました。
今回のご講演では、先生ご自身の日本語教育との出会いから始まり、日本語教育の現場で感じられた葛藤や疑問から生まれた問題意識を語ってくださり、メディアの発展を背景にしたコミュニケーションツールであるLINE会話に焦点をおいたご研究についてお話しくださいました。
近年、手紙、電話、電子メール、SNS…と、人々のコミュニケーションツールの多様化が進むと同時に、マルチモーダルなコミュニケーション、とりわけ視覚コミュニケーションが台頭し、文字コミュニケーションの位置づけに変化が見られています。このような背景の中で、岡本先生は、実際に人々が行っているリアルなコミュニケーションに着目されており、従来の「話す」「聞く」「読む」「書く」技能だけではなく、「ビューイング教育」にも注目する必要があるという点についてお話しくださいました。さらには、従来の言語教育能力観を大きく捉え直し、「新しい価値やルールを協働で創造する未来志向」のデザイン力が必要であるという観点についても言及され、我々院生も、そのお話に非常に感銘を受け、共感いたしました。
ご講演の後半では、留学生と日本人のLINE会話の実態に基づき、スタンプの機能や発話の意図について、たいへん興味深い知見を伺いました。リアルなコミュニケーションに常にアンテナを張り、丁寧に研究として落とし込み、研究を通してコミュニケーションの新しい価値観を生み出していくご姿勢は、我々院生の心に大きく響きました。お忙しい中、貴重なご講演、本当にありがとうございました。
≪主な御著書≫
『メディアとことば1 特集「マス」メディアのディスコース』共著,ひつじ書房,2004年
『雑談のビジュアルコミュニケーション—LINEチャットの分析を通して—』共著,ひつじ書房,2016年
『日本語能力試験スーパー模試N1』岡本能里子(監修),アルク,2011年