友だちって時間がかかる | Minahei

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ライター戸塚美奈のブログです。

クレヨンしんちゃん「友だちをつくろう!」の本の構成を考えているときに、

NHKのテレビ番組「消えゆく"ニッポン”の記録 民俗学者神崎宣武」を見ていて、「あっ」と思った。

神崎さんは、民俗学者。師匠は宮本常一。

宮本常一は足で日本中を周り、貴重な資料を大量に残した民俗学者。

その師匠から、こう言われたという。

「話を聞くっていうのは、どういう立場の人であれ、友だちのようになったら 友だちだったら、時間が長くなっても帰れとは言わんだろう」

「わしはここの人がどうやったらいちばん幸せになるかを思いながら聞いている」

と。

人間が本音をしゃべるということは 最初に出会って がちっと相性が良くて そこまで深まるというのは まずあり得ませんからね 何度か会っているうちに 時間をかけて本音が出てくるのですから

 

フィールドワーク、ってどうやるものだろうと思っていたけれど、それは「友だち」になることだったのだ。

 

神崎さんは、現役の神主さんでもある。途絶えそうな村の祭りの神主をつとめ続けている。

 

時間をかけて 時間をかけて 無駄な時間をかけて 

それが本当は文化の伝承では 大事なことだったんだろうと思いますね

そしてそれを毎年繰り返すという

 

相手のことを思いながら話を聞く。それが友だちということ。そして、それっていうのは、本当に時間がかかるものであるということ。

日本の村の中では、その営みが伝統として綿々と受け継がれてきたということ。

 

 

友だちの上限は150人という「ダンバー数」を提唱した人類学者、ダンバー博士の著書『なぜ私たちは友だちをつくるのか』にも、まったく同じことが書かれていた。

 

「感情面での絆とその相手に割く時間は直接関連しているのだ」つまり、友情を育むには時間がかかる。

と。

これはどういう理屈なのかというと、人間関係が促すエンドルフィン放出の回数を決めるのは、時間、だからなのだそう。サルは霊長類は友だちといっしょにいるとき、毛づくろいしたりされたりしているときにエンドルフィンがでている。

我々人間は毛づくろいだけではなく、笑ったり、踊ったり、宴会したり、物語を語ったり……でエンドルフィン系を刺激する。

 

面白いエピソードが載っていて、パブの常連とふらりと訪れた客とでは違いがあるか、の調査では、すべてにおいて「地元」で飲んでい人のほうが幸福度のスコアが高かった、と。

 

友だちをつくるには、どうしたって時間が必要なのだ。

 

時間にケチな現代の私たち・・・・・・