トマトの味 | Minahei

Minahei

ライター戸塚美奈のブログです。

ほったらかしの畑のトマト。見た目はさておき、行くたびにけっこうとれている。完熟でないものも、収穫したあと台所で転がしておけば色づいて来る。

ビギナーだし、ろくにお世話もできないからと中玉トマトにしたけれど、これなら大玉トマトもできたかも。来年は大玉トマトにチャレンジしよう。

子どものころ、実家の畑で作っていたトマトは、ほんとうにおいしかった。大きなトマトをざっくりと輪切りにしてかぶりつく。トマトは嫌い、と言っていた、埼玉から泊まりに来たはとこが、目の色を変えて、おいしいおいしいと採りたての完熟トマトを食べていたのを思い出す。

 

もう一回、あのトマトが食べたい。

 

無農薬、無肥料、植えっぱなしでできるかな? と思ったけど、できた。完熟のトマトを切って口に入れた。「あっ、あの味だ!」

昔食べたあのトマトのようなジューシーさはないけれど、まさしく、あのトマトの味。土とおひさまの味。

マドレーヌを紅茶にひたして食べて思い出がよみがえり……というのはかの有名な『失われた時を求めて』の長い長い小説の書きだしの部分だが、野人の私の場合は、マドレーヌじゃなくて、トマトだったみたいだ。トマトをかじって、子どもの頃の思い出や故郷の田園風景が一気によみがえって来た。

 

イラストレーターの奈良美智さんが、子どものころに見ていた風景をもう一回見たい、その思いで那須の自宅の周りを手入れしているということをツイッターに書かれていた。

私も、そう。