我が子がサッカーで挫折するとき | Minahei

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ライター戸塚美奈のブログです。

☆『サッカー母ちゃんのドタバタ日記2012年2月のブログです☆

 

前回書きました、

息子さんが、強豪クラブ→強豪高校サッカー部へと進んだという、母ちゃんにとってはうらやましい存在の先輩サッカー母ちゃん。

じつは、お兄ちゃんも、その高校サッカー部出身なのです。

 

「でも、お兄ちゃんは、中学受験なのよ」


「それは……サッカー部に憧れて、ですよね?」

「もちろんよ。小学校6年の時に、12月までブロック選抜のトーマスカップに出た時なんて、模試の会場から試合会場に直行して……よく頑張ったなぁ。当時2教科受験だったからできたのね」

 

ところが、それほどまでして入った学校だったというのに。

「入学して最初の保護者会でね、『サッカーの強い〇〇高校とは中学はまったく別ですから』って言われてね」

 

ひどすぎる。

「それじゃ、高校に上がってもサッカー部には入れないってこと!?」

「入れるけど、高校からはスポーツ推薦で来る子がほとんどでしょ。中高一貫の子がトップチームに入れるのはほんとうにたまーに、一人いるかいないか。まぁ、ほとんどいないね」

 

それでも、お兄ちゃんは決してあきらめず、ひたすらサッカーの練習を続けたのだそう。

 

「もともと、お兄ちゃんはすごく熱いプレーをするタイプでね……ゴールの中に泥だらけで転がり込んだり、見ていていつも感動させられてきたのよね。Jの下部組織に入った弟のほうのプレーには、そういうこと感じたことないのに」


そして、

2年の終わりの春休み。

 

「明日の〇〇高校との試合、出るから、観に来て」

って。

 

ついにトップチームの試合に召集がかかったのです。

 

千葉の強豪高校相手に、スタメンでプレーするお兄ちゃんを見て、Kさんは涙が止まらなかったそうです。


「その時、監督の目に、お兄ちゃんの姿がしっかり映ってるのがわかったの。最高のプレーだったよ。

なのに、学業そっちのけだったもんだから、学校で赤点をとって来て。それで、春合宿に行けなくなってしまって。もうそれっきり」

トップチームへの道は閉ざされてしまったのだと。

 

「それからの落ち込みようはひどくてね……部屋の隅に座り込んだまま何時間も動かなかったり・・・。

もうそれからの一年半くらいというもの、自殺するんじゃないかと心配だった」

 

その後、お兄ちゃんは浪人時代も経て、大学進学したそうです。

 

「大学ではサッカーは?」


「サッカーから足を洗ったよ。フットサルは時どきやっているけど。

あの、〇〇高校との試合が、彼の頂点だったんだね。あそこで彼は終わったんだと思う。

トップチームでプレーすることが、彼の目標だった。

でも彼はそれを全うしたんだから」

 

大学進学したあと、やりたいこと、留学するという目的ができ、これまでないほど勉強しているそうなんです。

 

「あのサッカー挫折の経験で、ものすごく大きく成長したよ。

ほんとうに思い出すのもつらいけど、でも、あの挫折の経験がなければ、今の彼はいなかった。

今もう、ほんとに、頼もしい! いい男に成長してくれたと思う。

あのね、

男の子って、落ちるとこないようなどん底まで行った時に、自分で、気づくのよ」

 

だから、

親は、何があっても、黙って見届けるしかないのだと。


親は、子どもに挫折させたくなくていろいろやってしまうのだけどね。

親が手助けできることなんて、ほとんど何もないのかもしれない。


 

Kさん、サッカー少年に中学受験はすすめない、ときっぱり。


「学業での中だるみもすごいし。お兄ちゃんは自分はあの学校でよかった、一番の友達も持てた、って言っているから、それには救われてるけど」

 

・・・・・いつかどん底に来る日。

覚悟しなきゃね。


みけんにしわを寄せてたら、ハハハと豪快に笑って、

 

「さぁ、一緒に苦しんで苦しんで~! うちも順調にサッカーやってる次男のほうがこれから心配よ~」

って。

 


挫折を乗り越えた、いや、我が子の挫折を見届けたサッカー母ちゃんは強し!!