これはあなたの仕草ではないか
そういう錯覚に襲われる

友達と話をしているとき
ふと
眼鏡をかけ出してからは
さらに酷くなっていく
この笑いはあなたの笑いだと

この頷き方はあなたのものだと

これは何を意味するのだろう
僕の無意識な
あなたへのコピーだろうか

それともこれは
あなたと僕が兄妹であることの

どこかであなたと僕が
結ばれていることを
示しているのだろうか

(11/10)
もう遠い昔
もっと僕が幼かった時
僕は始めて恋を知った
君に会った時だ

僕は教室で
どんなだったろう
今は悲しむように
思い出すしかない

もっと幼い恋ならば
僕はこんなことも考えず
ただ生活の中で
あなたがいればよかったでしょう

でも今の僕は違うのです
僕のこれまで見てきたものの
すべては
すべて君というフィルターを通さなければ
もう思い出す事が出来ないのです

僕にとって僕の想い出は全て
あなたに聞かすための物語となったのです

もっと幼い恋ならば
僕は僕の為に自然の中で
寝転ぶこともできたでしょう

しかし今の僕は
草の息吹も花の香りも
そして木々の風も
すべてあなたに贈る贈り物と
なってしまうのです

あなたとの暮らしを勝手に想像して
これからあるべき生活を考えてみるのは
実に楽しいことです

しかし忘れてはなりません
その考えは一息ついた途端に
すべて忘れてしまってると
いうことを

(11/9)
僕が
窓を開けると
風が入ってくる

外ではおばあさんが彼はを集めてる
風は僕を通り過ぎ
僕の後ろを歩く人の髪に
捕まえられる

そして風よおまえはまた
通り過ぎてゆく
僕はその中にある一人の人を
見つけて
思わず微笑んだ

僕の作った風の悪戯に

(11/9)
北風よもっと吹けさらに吹け
そして僕はこの冷たい空間に
身を捧げよう

さあ風よ
この冷たい空気に満たされた
この場所に

さらに冷たい空気を
運んでこい

でなけりゃ
この赤く染まった頬は
隠せない

(11/9)
お互いのことを忘れ
もっと好きになる人ができるかもしれない
そんな生活にもあと少し

もう君とも会えず
違う人の中で生きてゆく
今は悲しいそんな時

僕は笑いながら生きてるのだろうが
では今の僕にとって
君は何であろう

少なくとも僕は
君を僕の一生の伴侶として
そう考えてゆきたいと

別れることで
もう終わる
そんなのがこの世なら
僕は潰してみせる

決して忘れてはならないし
思い出してもならない
君の温かさは
つねに僕と共に

二人はいつも寄り添って
歩いてゆきたいと
何よりも生きてきた者として
星空にある一個の生として

(11/8)
四方を山に囲まれていて
その間に僕の土地がある
ここにいつか君を連れて来よう

家の庭から
大きな山のその上に
沈みつつ太陽が
赤く染まっているのが
見える

その山の下には道がある
左から右へまっすぐに
右へ行く着くと
その道はこちらの方へ
ある

庭から見れば
右の方を向けばいい
その道は途中で二つに
別れている

上の方へ行けば
更に奥へ
下に降りれば
この辺りの家々に通じる

左を見れば川があるが
見えないだろう
ススキが生い茂っている
そこには栗の木があるが
見えるわけない

そこの山には
神様が祭られた
小さな建物もある

そしてこの山々に囲まれて
一万に田がある
所々トタン屋根の小屋
と黒い土の畑だけ

庭を降りて
右へ行けば
家に

道の左側に蔵とお風呂が
ここで左に曲がれば池に出る
まっすぐ進めば畑がある

大きく蛇行して
水源地もある
水が威勢よく落ちて
田の方へと流れている

その先にはさっき言った
二つに別れた道がある
舗装されている
その道を通って家へ帰ろうか

昔、牛の角を切った建物も
ある
もう少し行くと自動車小屋があって
畑と家も見えてくる

この家にはまだ牛がいるんだ
そしてこの間に大きく下った砂利道がある
意志が真っ赤だろ
錆色というのかな

そこを下りればもとの家だ
古くなったガラスが見えるだろう
牛小屋とに囲まれた所を通れば
もう玄関がある

さあ入ろう

僕が君と歩いた道だ
そうかい
そうかい
好きになってしまったのかい
まあ頬を真っ紅にして
  そうお婆さんが少女に言いました

かわいい顔だよ、今のおまえさんは
うれしいねぇ
いつの間にかおまえもそんな歳に
なったかい
ついこの間まで庭でスコップを持って
遊んでいたのにねぇ

おやまだ話をしたことがないんだって

そうかね
そうかね
つらいかね
名前もわからない人を
好きになったのは

おや涙なんか貯めて
泣き虫だね
おまえさんは
人を好きになるというのは
時間じゃないよ
おまえの愛し方は正しいんだ

そう
その人もおまえのことをじいっと見るの
それはよかったねぇ
おや暖炉に薪をくべなくっちゃ

火が燃えてるよ
あたたかいねぇ
おや疲れてきたかい
そう
じゃあお婆さんがおまえに
とてもすばらしいお話をしてあげよう
そして明日の朝、目が覚めたなら
そのいっぱい溜まった涙を集めて
その人に会いにおいき

(11/8)
通り過ぎてゆく瞬間に
思わず僕は下を見た
そして
そして
僕は通り過ぎる君を見る

これが恋だ
これこそ恋だ
弱さに震え臆病者に
与えられた唯一の恋だ

君は僕を見た?
目が合った?
ぢいっと見つめた瞳も
下を向いてしまう

それでもいいのかい
それでもいい?

そう
いつかそんな自分が嫌になれば
僕の手が勝手に
君に触れるだろう
この足もまた
君の所へ行くだろう

そしてこの瞳は
もう二度とためらわず
君をまっすぐに

そして頬を真っ赤にして
頭の変になった僕は
君に訳の分からないことを
喋り始めるだろう
冷たい廊下
人はただ通るためだけに
歩くのに
僕は
その中に居るはずの君を待つために
そこにいる

誰にも解らないように
話しをしながら
僕は待つ

話したこともないのだから
声だって聞いてみたいよ
顔もよく見たい

冷たい廊下にて
君を待つ