ゲイのみなづち(@minaduchi)です。

 

日本の市役所窓口では、婚姻届を出せば通常は数分で受理されます。必要書類が揃っていれば、職員は祝福の言葉とともに届出を受け取り、二人は法律上の夫婦になります。

 

でも、この「当たり前」が当たり前でない人たちがいます。長く連れ添い、家族に祝福され、丁寧に準備した婚姻届でさえ、窓口で返される人たちです。

 

高等裁判所の判断は6件出ており、そのうち5件が「憲法に反する」との判断を示しました。それでも国の制度はまだ変わっていません。

 

30年の覚悟が「不受理」で終わった日

 

ある市役所の戸籍窓口で、私は忘れられない光景を目にしました。婚姻届を受け付ける窓口という「制度の最前線」で起きた、ある一日の出来事です。

 

二人の男性が窓口にやってきました。60代くらいでしょうか。

 

丁寧にアイロンをかけた婚姻届。

 

「今日で30年なんです」

 

震える声。何度も書き直した跡のある文字。

 

証人欄には、両家の親の署名がありました。

 

家族に認められ、祝福されている二人。

 

でも、法律は二人を「夫婦」として扱いません。

 

「申し訳ありません。法律上、受理することができません」

 

「分かってます。一度出したくて」

 

その時、隣の窓口から歓声が上がりました。

 

「昨日プロポーズされて!」

 

婚姻届は、3分で受理されました。

 

30年の覚悟より、1日が優先される。

 

男性は「記念になりました」と言って、不受理の紙を大切にしまいました。

 

帰っていく背中を見送りながら、窓口の職員はカウンターの下で拳を握りしめていました。

 

ただの紙切れ一枚が、なぜ彼らには許されないのか。

 

 
【注】以上は問題を理解しやすくするための事実に基づいたフィクションです。以下に実際の状況を説明します。

 

なぜ30年の愛が「夫婦」扱いされないのか

 

日本では、戸籍上の性別が同じ二人の婚姻届は受理されません。政府は国会答弁で、民法・戸籍法上の「夫婦」を「男である夫及び女である妻」と解し、同性カップルの婚姻届は受理できないという整理を示してきました。

 

ここで重要なのは、当事者の愛情や覚悟の問題ではないことです。「窓口の担当者がどう思うか」ではなく、制度が最初から門前払いの形になっているのが核心です。

 

「他人」のままでいることの代償

 

法律上の関係が「夫婦」ではないことは、感情ではなく「損失」として積み上がります。

 

税・社会保障:法律婚に紐づく控除や扶養、遺族給付などで差が出ます。

相続:法定相続人になれません。遺言で備えても、税制上の優遇や遺留分の問題が残ります。

医療:緊急時の同意や面会が「家族」と同等にならないケースが起こりえます。

 

ポイントは「優しい病院・理解ある会社」だと通ることがある一方で、権利として自動的には確保されていないことです。

 

高裁6件の判決:5つが「違憲」、1つは判断を抑えた

 

同性婚訴訟の高裁判決は6件出そろいました。そのうち5件が「現行制度は憲法に反する」と判断しています。

 

札幌高裁、東京高裁(1次)、福岡高裁、名古屋高裁、大阪高裁が違憲判断を示し、東京高裁(2次)のみが主文で控訴棄却としました。

 

ここで大事なのは、「賛成・反対」ではなく、制度が特定の人を排除して大きな不利益を生んでいるという点が、司法の中で具体的に認定されてきたことです。

 

6件すべてが最高裁に上告されており、統一判断が見込まれています。

 

国連からの勧告:日本は国際基準から見ても遅れている

 

日本は国内で議論しているだけではありません。

 

国連の人権メカニズムでも、同性カップルを含む権利保障について、繰り返し指摘が出ています。

 

自由権規約委員会(2022年):同性カップルがすべての権利を享受できることを求める趣旨の勧告。

女性差別撤廃委員会(CEDAW, 2024年):同性婚の承認を含む権利保障に踏み込む勧告。

 

これは「外圧」ではなく、国際人権の共通ルールに照らした点検です。

 

G7の中で日本だけが取り残されていると言われる背景には、こうした国際基準とのズレがあります。

 

経済界はすでに動いている:600社超の賛同

 

生活上の不利益は、当事者だけの問題ではなく、企業の人材戦略にも直結します。

 

婚姻が前提の福利厚生(慶弔、転勤帯同、家族手当)を、企業が独自に埋めようとしても、限界が出ます。

 

実際に、婚姻平等を求める企業キャンペーンでは、賛同企業が600社を超える規模に広がっています。

 

制度の遅れは「当事者の人生の遅れ」であると同時に、社会の運用コストにもなっています。

 

もし自分の愛が「不受理」だったら

 

想像してみてください。

 

あなたが30年間、一人の人を愛し続けたとします。親に紹介し、祝福されました。

 

証人欄には両家の親が署名してくれました。アイロンをかけた婚姻届を持って市役所に行きました。

 

「申し訳ありません。法律上…」

 

隣の窓口では、昨日プロポーズされたカップルが3分で受理され、祝福されています。

 

あなたは、その「不受理」の紙を、どんな気持ちで受け取りますか。

 

30年の覚悟より1日が優先される社会は、本当に公正でしょうか。両親が祝福しても法律が守らない社会は、誰のための法律なのでしょうか。

 

制度が整うまでにできる現実策

 

法律婚ができない間も、最低限の備えはできます。ただし「代替」ではなく「応急処置」です。

 

(一般情報です。具体の作成は弁護士・司法書士・行政書士等へ相談してください)

 

遺言:相続の入口を作る(ただし税や遺留分の問題は残る)

任意後見契約:判断能力低下時の代理を設計

公正証書:財産・同居・費用分担などを見える化

医療同意・緊急連絡カード:病院運用に左右される場面の補助

 

「制度がない」ことを、当事者が自己責任で埋め続けさせる社会は公正でしょうか。このチェックリストは、社会の未整備の裏返しでもあります。

 

まとめ:紙切れ一枚が、なぜ許されないのか

 

市役所の窓口で、30年連れ添った同性カップルの婚姻届が返される一方、別のカップルは3分で受理され祝福される。

 

この落差は、感情ではなく制度が作っています。

 

高裁判決は積み上がり、国連勧告も出て、企業も動いています。それでも法律が変わらない。だからこそ今、社会が問われています。

 

ただの紙切れ一枚が、なぜ彼らには許されないのか。

 

この記事をもっと詳しく読みたい方へ

 

より詳しい情報は、ブログ記事で解説しています:

 

https://minaduchi.blog/30-years-marriage-rejected

 

この記事の元になった投稿はこちら

https://www.threads.com/@minaduchi/post/DSny31SkymE

 

参考資料

 

・衆議院 質問主意書・答弁書(2018年5月11日)

・結婚の自由をすべての人に(Marriage For All Japan)

・CALL4(判決全文・要旨)

・国連 自由権規約委員会(総括所見・2022年)

・女性差別撤廃委員会(CEDAW 総括所見・2024年)

・パートナーシップ制度の集計(自治体報告・2025年5月末時点)

 

 
※この記事には、問題を理解しやすくするための事実に基づいたフィクションが含まれています。フィクション部分はプライバシー保護のため匿名化・再構成・表現調整を行っています。フィクション以外の内容はすべて公開情報に基づいています。