私はこうしてアオを産みました。
忘れないうちに私の出産、綴っておこぅ・・・。ワタシはこうしてアオを産みました。
9月6日。
午前中の検診では「まだまだやね~」って言われてたけど
夕方6時頃、お腹の張りがなんだかいつもと違う感じに・・・。
前駆陣痛かな~と思いながらも、なんせ初めてのことで不安だらけだったので
とりあえず病院に電話。
「念のためモニターをとってみましょう」と言われ、母付き添いのもと病院へ。
結果、やっぱりまだまだ張りが弱いし、規則的ではないのでその日は一旦帰宅。
9月7日
夜中中お腹の張りは続いたものの、朝の段階ではまだまだ全然耐えれる痛み。
お昼すぎに少し痛みが強くなってきて時間を計ると10分間隔に。
10分間隔になったら電話するよぅに言われてたので病院に連絡。
まだまだ私の声に余裕があったのか、
「あと2時間様子を見て痛みが強くなっているようならまた電話して」と言われる。
2時間時計とにらめっこしながらかなり不安になる・・・
そりゃそうさ、初めてやし、こんなのん気に時計とにらめっこしてていいんやろか?
間に合わへんかったらどうしよ~
そんな不安が痛みを増幅させてるような感じ・・・
(この時点ではそんなことを考える余裕がまだあったなぁ・・・。)
2時間後再度電話すると、
「モニターとって、先生に一度見てもらいましょう。念のため入院準備してきてください」と言われる。
ちょっと安心したのか、なんだか急に痛みがやわらいだ感じ・・・
ダンナさん運転で病院へ。
先生は、今までの検診で帝王切開の可能性がある私のカルテを見ながら
「まだまだ陣痛は弱いし子宮口もあまり開いてないけど、
予定日過ぎてるし赤ちゃんもかなり大きくなってるから初産やしこのまま入院しましょう」と。
子宮口はまだまだ2センチ。これが夕方6時頃。
ダンナさんは仕事があるので、付き添いを母とバトンタッチ。
痛みはだんだん強くなっているものの、今までの検診で言われてたよぅに
子宮口が硬くて開きが悪い・・・
夜中中、何度も何度も内診してもらうも、痛みが増すだけでお産が全然進まない。
9月8日
結局、母には泊り込みで付き添ってもらった。
朝の内診では子宮口は3センチ。
「え~こんなに痛いのに、まだ3センチ???」泣きそうになる。
今おもえば、そのときの痛みなんて、なんてことない。
あれは陣痛なんかじゃない、あまっちょろい痛みやったなぁ。
お昼すぎて、モニターを取ると陣痛の間隔がかなり狭まってきた。
痛みもかなり強くなってきて、誰かに腰をさすってもらわないと息ができない・・・。
昨日からご飯も喉を通らず、かなり衰弱してきてるのが自分でもわかる。
でもでも子宮口開かない!
「あ~腰がくだける~いつまで耐えたらいいんやろ・・・」
付き添って腰をさすってくれてるダンナさんに八つ当たりするよぅになる・・・。
痛みはそんな感じでず~っと続き、母の付き添いも2晩目に。
「お産には力がいるし、寝ないとだめよ~」と言われるが
痛みは5分間隔でくるのにどうやって寝ろっちゅうねん! 痛みと寝不足と空腹でかなり不機嫌。
横になるのもつらく、ベッドに座ったまま傷みに耐える。
夜中3時、今までにない痛みが襲いはじめ、2~3分間隔に。
耐え切れずナースコールしてモニターチェック。
子宮口はやっと8センチ。またまた泣きそうになる・・・。
「陣痛の強さだけをみたら、もう10センチ開いてもいい感じやのにね・・・」と助産師さん。
モニターを見ると、どうやらハニーがきもち酸欠気味らしい・・・急を要する感じではないらしいけど・・・
ここまできて「帝王切開になるかもしれません。明日の朝先生に判断してもらいましょう」と。
!!!酸欠!!! そりゃ大変!!!
親の勝手な希望で自然分娩したい!なんて言ってる場合じゃなくなってきて、
この時点でやっと腹をくくる。
「ハニーになにかあったら困る! とりあえずなんでもいいから助けて!」
「ハニーが無事に生まれるなら、先生がくる朝の9時までこの陣痛乗り越えてやる!」
今までかなり弱気だったが、急に体育会系になる。
先生がくるまでのこの6時間は長かったなぁ・・・
9月9日 出産当日
先生に見てもらうも、やっぱり子宮口が開いてない。もぅ限界。
ハニーのことが心配で、すがるキモチで、手術をお願いする。
・・・も。
手術はお昼からになります、と。
「え~まだこの痛みに耐えなアカンの?」と思い気を失いそうになる・・・。
「手術決まったのに、このムダな痛みと戦えなんて・・・」
と、そんなわけはなく、「陣痛は点滴でとめましょうね」と先生。
この点滴がすごかった!
針をさして、2、3分しないうちに痛みが止まった・・・。
なんかあっけなかった。
予定日が近づいてまだかまだかと待ち望んでた陣痛が、こんな簡単に止められるなんて・・・
これで二度と陣痛を経験することないんやな・・・
心にぽっかり穴があいた。
いや、あけてる場合じゃないし!
これから手術が待ってるんやで、私!
陣痛が止まり余裕ができて、記念にデカイお腹を写真におさめたりして手術を待つ。
午後2時30分 手術室へ
手術の準備などで慌しい手術室。
手術台の上で真っ裸のまま放置されるデカイ腹のワタシ。
普通に考えれば多少の恥ずかしさがあってもいいんやろうけど
もうすぐハニーに会える!っていう喜びと緊張が大きくてそんなのどうでもよくなる。
こうやって恥じらいを失っておばちゃん化していくんやろか、とちょっと冷静になれたひととき。
麻酔の注射もなんてことないさ。どうにでもしてくれ。
「さぁ、手術始めますね」
先生のその声から2、3分?
「うわ~ドロドロやな~」と驚く医師2人&助産師3人。
お腹の中で苦しいと赤ちゃんがウンチをしちゃって、羊水がドロドロになるらしい。
ここで罪悪感に襲われる。
「ごめんね。お腹の中で苦しかったんやね。ごめんね・・・」
いや、いや、まだ泣いたらアカンで、ワタシ。
もつかのま。お腹の中からニュルっと何かが出た感触。
「大きな赤ちゃんよ~」の助産師さんの声に驚く。午後3時9分。
「もうでたん?はやっ!」まだ母親になった実感は湧いていない。
急に助産師さんがバタバタし始める。
隣の部屋で、ウンチまみれになったカラダをきれいにしてもらって
ハニーがやっと産声をあげた。
遠くで「うわ~パパそっくりやわ~」っていう母の声がする。
感動して涙がでてきた。じわじわと。
無事に生まれてきてくれて、ほんとによかった。
手術中だからすぐに抱っこは出来なかったけど
助産師さんがハニーのおでことワタシのおでこをひっつけてくれた。
温かかった。生きてる。良かった。
と感動の余韻にもうちょっと浸りたかったけど、まだまだ手術は続く。
胎盤を出したり、子宮の形を整えたりしてるんやろうけど
麻酔が効いてるとはいえ内臓をグリグリされてる感じがかなりツラかった・・・。
吐き気はするし、息はしづらいし、寒気はするし・・・。
手術自体は1時間もかからず、自室へ戻るも
下半身の感覚はないし、ハニーは近くにいるものの抱っこはできないし、
実母のワタシなんかより先にハニーと対面し先に抱っこした母親をすこし恨めしく感じたり・・・
結局、ちゃんと抱っこできたのは手術翌日。
お乳をあげられたのは3日経ってからだった。
ハニーのお世話ができないこの間に、ダンナさんとハニーの名前を決めた。
ハニーを卒業してアオと呼ばれるようになった我が子。
ゆっくり抱っこできるようになって、ふとアオの手を見ると
のびた爪のあいだに緑色のウンチが挟まってた。
お腹の中でアオがもがきくるしんだ証。
ウンチまみれで生まれてきたから、菌に感染しないようにと他の子は飲まないお薬を飲まされるアオ。
まだママのお乳も飲んでいないのに。
胸が痛んだ。苦しかった。このときのキモチ。きっと一生忘れない。
「ほんとにごめんね。もっと早く産んであげられたら良かったね・・・」
お腹を切った痛みは麻酔が切れてからはとんでもなく痛くて、
ホッチキスのような針金で7日間も止められた後の抜糸も想像以上に痛くて、
私のお腹の傷は今になってもまだまだ痛々しいけれど
アオが無事に生まれてきてくれた喜びなんかに比べたら、そんなものどうでもいい。
ワタシに傷が残ることくらい、どうだって。
帝王切開したっていうと、なかには「自然分娩できなくて残念だったね~」という人がいる。
ワタシだって正直、最後の最後まで自然分娩にこだわってたし。
だけど、医療の技術が進歩してなかったら、もしかしたら救われなかったかもしれない命。
わが子をかわいいと思う気持ちは一緒。産み方なんてどうでもいいやん。
生まれるまでに時間はかかったけど、ワタシにとっては大安産。
ほんとにいいお産だったって胸を張って言える。
アオ、生まれてきてくれてありがとう。