自宅療養では、パソコンの前に座ることからスタートした。

最初のうちは、パソコンの電源を入れ、パスワードの入力をしたら、
もう、そこで限界だった。
座っていられるのも、10分が精一杯だった。

マウスをクリックできるようになるまでが大変だった。

マウスに触るために、手を持ち上げると、
腕が抜け落ちるように感じ、肩や上腕筋がとても痛い。

手首から先の感覚がなく・・・

・・・こう書くと、何も感じないのかと思われてしまうだろうが、痛みは感じるし、
なにより砂鉄の中に手を突っ込んだようなじんじんとする不快感が継続しているのだ。
そのために、正常な感触・感覚が遮断されてしまっている・・・

・・・マウスのクリックも、ままならない。

当然、華麗なブラインド・タッチも失われてしまった(涙)。

それでも、音声入力ソフトを併用し、痛みと痺れとの闘いを続けた。

5月に気温が激しく上下した時には、手足が凍えるように感じ、凍えが疼痛に変化して、
辛くて辛くて・・・我慢できなくなった。
ヒーターでつま先を温めながら、やっと乗り切った。

病院でリハビリを受けると、1回1時間で1万円くらいの自己負担が発生する。
そのお金と病院までの交通費(タクシーを使わざるを得ないので、往復で5千円くらい)の工面がつかず、
リハビリを受けたくても我慢するしかなかった。

調べると、受傷後6カ月経過すれば、身障者手帳の交付申請ができるという。
申請して3か月くらい経った5月下旬に、身障者手帳が交付された。

身障者手帳があれば、一定の範囲内で医療費の自己負担分がなくなるので、
私も、週1回程度は、病院でリハビリが受けられるようになった。

週1回でも、専門の療養士のよるリハビリの効果は大きい。
自分自身の毎日のリハビリと週1回の病院でのリハビリ・・・。

6月も終わる頃になると、1時間くらいはパソコンの前に座っていることができるようになった。

この頃、一生懸命にやったのは、「スパイダー・ソリテア」というカードゲームだ。
クリックとドラッグ&ドロップを頻繁に行わなければならず、
自然と指先の感覚や腕の動きのリハビリになった。

オンゲーもしたけれど、その話は、また、いつかどこかで・・・

そうやって、1年間、自宅療養して、ようやくここまでパソコンが使えるようになったのだ。