中学生の甥っ子が急に映画を観に行こうって言い出して、「何を観るの」って訊いたら、
「木更津キャッツアイ」だと言う。
名前だけは聞いたことがあるし、レンタルショップにも何作かDVDが並んでいたのを見たことがあるけれど、観たことはなかった。
「それ、おもしろいの?」
わたしは思わず甥っ子に訊いてしまった。
「もちろん。しかも、今度のワールドシリーズ編が最後なんだ」
わたしが手塩にかけて映画通に育てた彼の言うことである。間違いはない。
わたしは、上映時間を確認した。
「あと40分しかないわ。急ぎましょう」

この物語は、ぶっさん(岡田准一)が主人公なのだけれど、

わたしは、うっちー(岡田義徳)と杉本文子(栗山千明)の絡みがおもしろかった。

軟弱なうっちーを徹底的に鍛え上げる女自衛官役は、栗山千明にぴったり。
いじめともとれる昼夜わかたぬ杉本のシゴキに音を上げ、自衛隊宿舎を脱走したうっちーを、らんらんと光る目で追いかけてくる彼女の執念には、何か女の業みたいなものを感じて、ぞくぞくした。
うっちーと杉本の初対面の時から、何となく彼女の視線に只ならぬものを感じたので、これは彼女の一目惚れかなと思っていたのだが、案の定?尋常ではないシゴキ(多分、愛情の裏返し)が開始されたのだ。
かくて、脱走兵うっちー奪還のための杉本率いる「女子野球日本代表チーム」VS「木更津キャッツアイ」の試合が行われることになった。
木更津キャッツアイが勝てば、木更津沖の沈没船からアメリカゾンビチームのお宝を自衛隊に引き揚げて貰えるのだけれど、負けたら、うっちーはもとより

アニも

バンビも

み~んな自衛隊に強制入隊させられる。
このへんの展開は、とてもわたし好みだった。彼らがホントに自衛隊に入隊したら、若い女性の入隊希望者が木更津だけは殺到するかもね。

結局、試合は、木更津キャッツアイが負けてしまうのだけれど、キャッツの健闘に心打たれた?杉本は、沈没船の引き揚げの約束を果たしてくれるのだ。
本音は、うっちーにカッコいいところを見せたかっただけなのだろうとわたしは思っている。
強制入隊も免除ということで、ほっと胸を撫で下ろすキャッツアイのメンバーだったが、えらく気前が良いと思ったら、うっちーだけは連れて帰ると言う。
ははーん、そういうことなのね。
そもそも、杉本は軟弱な男が大嫌いだから、まともに会話できないような頼りないうっちーには我慢できなかったのだろう。
それでも、自ら自衛隊に志願してきたという(完全な誤解なのだけれど)根性にちょっとは気を惹かれていて、
「それならば、わたしが一から鍛えなおして、理想の男に教育してみせる」
なんて壮大な勘違いをしてしまったのに違いないのだ。

確かに、脱走して来たうっちーは、杉本のスパルタ教育のおかげで見違えるようにしっかりした喋り方に変っているし、女の視線では、ビフォーアフターで言えば、これなら付き合う対象、結婚対象にしてもいいかな、くらいに変身していた。
・・・いくらキャッツの仲間内で、前のうっちーの方がうっちーらしくていいと言っても、前のうっちーは論外!!!

さらに、変身振りは続く。
試合中に、打席に立ったうっちーに、
「どんな卑怯な手を使ってもいいから塁に出ろ」と叫ぶキャッツのメンバー。
そこで、うっちーは一計を案じて彼女に叫ぶ。
「杉本教官! わたしはあなたのことを想って、毎晩、×××をしてしまいましたっ」
これには、仲間内ですら不評。
「いくらどんな卑怯な手を使ってもいいと言ったけれど、下ネタだけは駄目だ。そんなのうっちーじゃない」
えっ? うっちーって、女に奥手だったの? 
前作もテレビも見てないから判らない。
でも、もじもじしてて、ろくに喋れないのだから、そうなのだろう。
だとすれば、凄い変身。
これには、さすがの鬼教官の杉本も動揺してしまい、うっちーに対し棒玉を投げてしまう。女として見ていてくれたのだと、内心うれしかったのかもしれない。
しかし、出塁したうっちーに、「帰ったら、殺す!!!」と自衛隊に連れて帰ることを宣言する。
何故、杉本は、そこまでうっちーに拘るのか。
試合が延長に入り、バッターに彼女を迎えた場面で、マウンド上に集まるキャッツのメンバー。
敬遠しようと言うメンバーに対し、敢然と異を唱えるぶっさん。

俺たちは一度だって、逃げたことはなかった。俺は絶対敬遠なんてしねえっ。
カッコいいと思いましたね、わたし。
でも、このシーンのポイントは、そんなことではなくて、みんなが、ぶっさんにお別れを言うこと。
メンバーは全員いい年になっていて、いつまでもぶっさんに頼っている訳にはいかないし、ぶっさんは大切な人だったけれど、死んで3年も経っては、もう過去の人なのだ。それを切々と訴えるメンバー。最後に会いに行かなくてごめんと詫びるメンバー。そして、いろんなおもしろいことを一緒にやって楽しかったとお礼を言うメンバー。
このシーンは、そういうメインテーマにも繋がる重要なシーンだったのだ。
それなのに、
「いつまで、ぐずぐず話しているのよっ」
と叫ぶ杉本。
そこで、うっちーが言い返す。
「今、大事な話をしているんだ。黙って待っていろっ」
びっくりした表情で引き下がる杉本。
いやぁ、やりましたね、うっちー。
自衛隊では、泣く子も黙る鬼教官の杉本に対して、敢然と男の意地を見せた。
男らしさをアピールしたこのことで、完全に彼女は落ちた。
その証拠に、帰隊後は、うってかわってうっちーとあつあつぶりを披露する杉本。
理想の男に仕上げたのは、わたしなんだから、この男はわたしのもの。
彼女の顔には、そう書いてあった。
そういうことなら、好きにしてくれ。

わたしは捻くれているので、このようにサイドストーリーを楽しんだけれど、ぶっさんとメンバーとの別れこそがこの作品のメインテーマなのであって、そちらも泣けるし、十分に楽しめたと報告しておきたい。
一緒に言った甥っ子も、おもしろかったと言っていた。
因みに、観客の半分くらいは、若い女性で占められていたが、劇場には、甥っ子の同級生も何人か観に来ていたようで、木更津キャッツアイは、案外、若い男の子にも人気があるのだなぁと感心した。
ハートは3個満点のうち、2個半ということで・・・・・・。



ところで、バンビ役の櫻井翔くんて、嵐のメンバーだよね。こんなに堂本剛くんに似てたっけ。わたし、最初、剛くんが出てるのかと思った。
こうやって、裏キャッツのメンバーに紛れていると、わたしには、もう区別がつかない。



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