これまで、出会った患者さんとそのご家族について記事にしてきた。
患者さんと向き合うことは当然であるけれど、そのご家族との出会いも私の心の中に鮮明に残っている。
患者さんとの思い出には、必ずそのご家族との思い出もあり、同じ数だけ私の中で大切にしている。
脳挫傷で運びこまれた40代の患者様。
働き盛りで、今からという時に、不慮の事故に遭われて、意識不明の重体となり、人工呼吸器を装着された。
ご家族は、奥様、まだ小学校低学年の男の子と女の子がいらっしゃって、突然の出来事に、ご家族も
動揺されていた。
奥様は、あまりのご主人の容態に、気が滅入ってしまって、何をたずねても、説明しても、
「はい。お願いします。」との返事をされることが精一杯だった。
受け持ちになり数日が経過し、その日は、私の指導者をしてくれていた先輩が、「今日は午前中清拭一緒にしようか、○さんの(私の受け持っているその患者さん)。家族に説明してきて。」
私は、「はい。」と答えてその家族のもとに向かい、体を拭くケアをさせていただく旨を伝えた。
すると、予想しなかった反応がご家族からあがる。
「もう、死期が近いから家族だけで過ごさせてください。体を拭くなんてどうでもいい。管に沢山つながれて、これ以上体を動かしたりなんだりしてもらいたくない。」
私は、「はい・・・・・。」と一言。
その後先輩が待つスタッフステーションへ戻り、ご家族の反応を説明した。
すると、これまた予想外の先輩からの一言。
「で?清拭(体を拭くこと)の必要性は?家族にきちんと看護上させていただく義務があると伝えてきた?なに引き下がってきたの?ボランティアでしてる訳ではないし、あなたはプロなんでしょ?
きちんと必要性を説明してきなさい。」
先輩の言うことも一理ある。
がしかし、私は、ご家族の意思を尊重してなんら差し支えないと思ってしまった。
先輩の言うように、清拭の目的や必要性は一応勉強はしてきたので、自分なりに解釈はしている。
はっきり言って、13年も看護師してきて、逆に、私の方が看護師の資質を問いたかった。
「じゃああなたは、ご家族の意思を尊重もしないで、教科書通りの杓子定規でしか物事を捉えられないようだけど、今日、今、清拭をする必要性を言ってみて。」と(笑)
はい、心の声です。
恐ろしい指導者であるお方にそんな口を利こうものなら、私目は、間違いなく、この縦列が厳しい世界から、
抹殺されるでしょう(笑
でも、私は自分の言葉で、ご家族の意思を尊重したい。それはこんな理由から。要は、皮膚が汚れても死にはしません的なことをびくびくしながら、先輩に言った。
すると、その先輩は「ふーん。」
その一言で去って行った。
背筋に凍るものを感じたが、いいやあと開き直った自分が今となっては、結構評価できたりする。
教科書通りに行うのもよし。
だけど、生身の人間相手ですから。
血が通った人と接してるんですから。
それが、看護の個別性というもの。
できる限り、患者さん本人や、そのご家族の心に沿って看護したい。
私のモットーなんで。