第8章 「裁判所へ ・・・ そして決断」





次の休み 裁判所へ行き 簡易裁判所で手続きを取ろうと思い


事前に裁判所へ電話して尋ねてみると


会社名 及び支店名 その住所 これらが必要だと言うので


電話が来たさいにメモしていたモノを一覧にまとめた ・・・ こうやって見ると


やっぱり スゴイな ・・・



当日 福島地方裁判所に行き 中に入ると ・・・?


「簡易裁判所って 何処?」


キョロキョロしてると 職員?の方に「どちらを お探しですか」


「簡易裁判所なんですが この建物でいいんですか?」


「簡易裁判所でしたら 左側の手前になります」


「ありがとうございます」


確かに 古めかしい字ではあるが 木製の板に 「簡易裁判所」と書かれてます


ドアをノックして 中に入り 用件を伝えると


男性職員の方が 「どうぞ こちらへ」


用意した 会社名 ・ 住所 ・ 金額の一覧を渡すと


「ずいぶんありますが ・・・ 破産ではなく 債務整理ですよね?」


先ほどより表情が厳しいのが明らかにわかった


「そうですが」


「まず 債務整理の基本的な流れからご説明します 金融会社は金額の大小にかかわらず


最長でも4年間(48回)での返済計画を求めてきます」


この言葉は ある意味「衝撃」でした


この金額 4年で返済? ・・・ ウソだろう


「まず第一段階として 各金融会社から利用の履歴を送ってもらい その履歴を元に


法定利息で計算し直した上で 各社との協議に入ります ですからおよそ2ヶ月後には


確定しますが ・・・ この金額ですと 履歴を見なければハッキリとした数字は出ませんが


およそ 30万前後の金額ではないかと思いますが 失礼ですが現在の収入は


手取りでどれくらいですか? 実際手続きをして払えないという方もいらっしゃいますので


それから 確定後に返済の「不履行」を起こした場合は一括返済も余儀なくされるので


その点だけは確認しておきたいんですが」


「・・・・・ 手取りで 38万ですかね」


「お住まいは?」


「社宅 ・・・ 転勤社宅ですが」


「そうですか 住宅ローンなど 他のローンはありますか?」


「ありません」


「かなり 厳しい線ですがギリギリいけるんじゃないでしょうか」


この時担当官は わずかながらの笑みをもらしたが


私自身は おそらく 「顔面蒼白」だったんでしょうね


この後 次回裁判所に来る日程を確認し裁判所を後にしましたが


裁判所を出て 自分のMTB(自転車)に乗らず 押しながらしばらく歩いてました


なんせ担当官との話の途中  


「あの ・・・ ちょっと質問なんですが この金額を48回で払うと


もう少し金額が低いような気がしますが ・・・ やはり先ほどの予想金額ぐらいなんですか?」


「簡単に説明しますと 「借金」ですので返済が終了する「完済」までの計算には法定利息が


かかります と言っても毎月ごとではなく 協議開始時の計算金額にという意味です」


完璧に後頭部を強打されました ・・・・・



そうして歩いている途中に携帯が鳴り 見ると札幌の弁護士先生からでした


「もしもし アナタさ「離婚」の手続き始めてるの?」


この先生 いつもながらの直球ストレート投げてきます


「いえ ・・・ まだ何も」


「ダメダメ! また借りられたらどうするの 早く相手の実家に話をして離婚しなさい」


確かに その通りなんだが ・・・ 裁判所の後にいきなり「離婚」の話を振られても


「そうですね ・・・ わかりました ありがとうございます」


それが 精一杯でしたね




自宅に戻り リビングにいると娘が何度となく顔を覗き込みます


「どうしたの?」


「何が? なんか変?」


「いつもと違うから  テレビ点いてるのにテレビ見てないし タバコの灰 灰皿からこぼれてるし」


完全にバレバレです


「仕事で大きな問題があってね それを考えてたんだ」


「ふぅ~ん  そうなんだ」


何かを察していたんでしょうね



その日の夕方から娘は熱を出して寝込みました


熱で汗をかいているので 着替えを持っていくと いつもなら気にもせず着替え始めるのに


今日は様子がちょっとオカシイ?  でももう中学2年生だし当たり前だよなと思いながら


寝室を出ようとしたら 娘がか細い声で 


「お父さん ・・・」


「どうした? 具合が悪いか?熱は少し下がってきたけど」


「熱じゃなくて ・・・ 」


「何でも言ってごらん ちゃんと答えるから」


私の勝手な予想では 今後の事を聞きたいんだろうなって思っていたら ・・・


「 あのね ・・・ 生理 ・・・ になって ・・・ 


聞き取りにくいくらい小さな声でしたが 確かに 「生理になって・・・」と聞こえました


「生理になって 何が困ってる 言ってごらん」


「ナプキンがもう無いのと ・・・ パンツも汚しちゃったから ・・・」


そこまで聞けば アホな私でもわかります


ベッドの上で上半身を起こしている娘を一度ハグしながら


「大丈夫だ 今買ってくるから 待ってなさい」


直ぐにドラッグストアーに行き 売り場へ来ましたが


ナプキンの種類・数だけでも ヤバイ!


(CMなどで名前は知ってますが 全メーカー?全種類が全て並ぶと お手上げです)


それに生理用のショーツもサイズはMだろうけど 色・形 


これは店員さんに聞くしかない! ということで聞きましたね


娘の事なので 全く「恥ずかしい」とかそういう気持ちはありませんでした


結局 ナプキンは2種類 ・ ショーツはピンクと水色の2枚(店員さんのお薦めで)を


購入して帰りました 娘はホッとしたのか


「ピンクと水色どっちがカワイイ?」なんて聞いてきましたが


「好きな方を穿けばいいでしょう 俺に聞くな!」


正直 この時の事は 今思い返すと イチバン父親らしい事をしてあげたかもしれませんね




娘の熱も下がり 寝た後  深夜まで考えてました



何度考えても 結論は一緒なんですが



何度も同じ事を考えてました



「離婚」の手続きを済ませるという事は 自分の実子ではない娘の


戸籍上の「養子縁組」も解消される ・・・


仮に「養子」として認められれば今と変わりない生活ではあるが


生活費が無い ・・・ 確定したわけでは無いが


最低でも給料の8割は持ってかれるだろう




離婚すれば 今の給与から何が減るのか会社で確認もしなければならない





娘は妻の実家にお願いしよう





そう決断した夜だった







次回 第9章 「返済の危機」 に続く







それでは  また  m(_ _ )m