第6章 「Sさんとのファーストコンタクト」




今日は通常の出勤なので 朝ご飯を娘と食べた後 先に出るのは私なんですが


この日は 「○○ちゃんと約束があるから 早く出るから一緒に出よう!」


今日起きる事を予測すると 非常に重い気分なんですが


娘に促されると 一瞬でも嬉しい気分になります



階段を降りて 娘に「いってらっしゃい!」 会社まではMTBで通っていたので


走り出そうと思った時 マンションの前に見慣れぬ車


(通常 マンション前には路上駐車の車がありません)


しかも 中にはスーツの煙草を吸ってる男が一人 ・・・


確実にコチラを見てます (初対面ですが お互い 何か通じてます)


気を取り直して 走り出そうと思った その時!車のドアが開き


「○○さんですね?」


振り返って見ると 背丈はやや高く 体格は自分よりは華奢(きゃしゃ)だが


目元は鋭い男が立っていた


こんな状況だから 知らぬフリをしてもしょうがないので


「そうですが ・・・ どちら様で?」


「仙台から来ました こういうモノです」と名刺を差し出した


名刺には ○○ファイナンスの文字


メジャーな会社ではないし 先日の留守電の会社名でもない ・・・


「ご用件は?」


「御宅の奥様が借りました債券をまとめてきましたので そのご報告を」


このセリフで 「コイツ頭がキレる」と思いました


「離婚」していない夫婦間ではお互いの名義は全て共有


ヤミ金 ・ マチ金の全てを買い取り一括請求しようという魂胆です


だが 私もバカじゃないので


「オタクのレートはいくら?」


含み笑いをしながら 「本当に会社員なんですか?」


「ああーそうだけど」


「普通 私らが出張って来れば たいてい皆さん まず「スイマセン」って言いますよ」


「俺が借りたなら そう言うかもしれないが 俺の借金じゃないからな それでいくら?」


「トサンです(10日で3割)」



この時初めて知りましたよ 今やレートは「トイチ(10日で1割)」から「トサン」だって事を


「ボロ儲けじゃん ・・・ それで脅して払ってくれれば いい商売だね~」


口元の口角に 「恥」と「怒り」が見えた  心理学で言う「微表情」だ


「娘さん 中学生ですか カワイイですね~」


この手の「裏」業者は相手の弱い所を突いてくる


「話かけただけで 今日からICU(集中治療室)に入るぞ 入院するか?


それとも仙台に帰るか?」


「仕事が忙しいので仙台に帰りますよ 今日は昨日ウチの若い者が会社まで行った


お詫びで来ただけですから」


「法定利息で総額いくらだ?」


「5社の合計で○○ですね」


「会社にお宅の若いモンが行ったの?」 (知ってますが)


「スイマセン 礼儀知らずで」


数分間 沈黙のままでした


「マチガイなく もう一度会いますねSさんとは  その時あらためて話ますか?」


「それで 結構です  今日はあくまでも「お詫び」ですから」



「最初に見て 目が合ったとき何を感じました?」



「同じ ニオイがするかも?って思いましたね」



「俺も ・・・ そう思いました だから安心しましたよ」



「いずれ また」 そう言ってSさんは車に乗り込み自宅前から立ち去った



これがSさんとのファーストコンタクト (出会い)であった






次回 第7章 「総額判明 ・・・ その後」 です







それでは  また  m(_ _ )m 雅(MIYABI) でした