中島みゆきさんの『ファイト!』

 

この曲を聞くと、1973年に起きた尊属殺事件が頭に浮かんでしまいます。

どなたか同じ方いらっしゃいませんか?

 

若い女性が所謂「親殺し」で裁判にかけられた事件¹。

中学生の頃から実父に性的虐待を受け、何度も妊娠させられ出産と中絶を繰り返して、逃げても連れ戻されて虐待され、その結果として父親を手にかけてしまったのです。

この事件を本で知ったときに私は、昭和の時代の、暗く悲しい事件という印象を持ちました。

 

 

”あたし男だったらよかったわ 力ずくで男の思うままに

ならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ”

 

この部分だけではなくて全体を通して事件の女性を連想してしまいます。

『ファイト!』は1983年のアルバム²に収録されていた曲だそうで、最近でもテレビCMで使われているようです。

応援歌なのでしょうか?

私はむしろ、「ファイト!」といって励まされる曲というよりは、抜け出すことのできない闇でもがき苦しむ自分にファイトと声をかけ続けるしかない状況を歌っているような感想を持っています。

 

 

この事件の加害者とされた女性の家庭はとても貧しかったため、弁護人は無償で弁護を引き受け、最終的に執行猶予付きの判決を勝ち取った結末は救いです。


中には、女性の母親がお金の代わりにじゃがいもを弁護士に渡して弁護を依頼したという情報もあり。

じゃがいもって。「大草原の小さな家」じゃないんだから。

でも、じゃがいもを受け取って弁護を引き受けてくれるなんて、なかなか人情味あふれる弁護士さんです。

 

この女性の産んだ5人のお子さんたちが今どこかで幸せに暮らしているといいなと思います。

 

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¹ 当時は尊属殺人は重罪であり、刑法200条で無期懲役刑か死刑と決められていたそうですが、この裁判で刑法200条が憲法14条1項(法の下の平等)に違反しているとして、最高裁で違憲判決が出ました。

現在、刑法200条はありません。

 

² 中島みゆき10作目のオリジナルアルバム『予感』 

 

かなしいのに惹かれる曲

 

 

 

 

 

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