販売業で働いた、何十年かの間には、ホントにさまざまな人たちに出会った。
何故、そんな事を書くかと言うと、昨夜旦那のオールカラー怪獣全科のなかに、ある、強烈な人だった、Y美そっくりな写真を見つけてしまったから。
Y美は、私が路面店で店長をやっていた、37才の冬にやって来た。
その店は東京ド真ん中の、ファッションの街のアンテナショップだったが、そのときの会社は百貨店最優先で、そんな店なのに、平気で未経験者を入れてきていた。
しかし、今回は私と同じ37才で、完全未経験(若ければまだ何とかなる)。パソコンに向かってたと言う。
「行き過ぎです(年が)」
「そーなのよ、だからさ、二ヶ月研修って感じで見てもらって、その後使うかどうかは、あなた決めてくれない?(男の営業でした)」
一緒に働いてたサブは、一ヵ月後にやめる予定なので、人事の様に笑って言う。
「ノーにしたら、恨まれませんかね~、ミラさんが
」
恨まれるのは別にいいが、でもとにかく先入観をゼロにして、ちゃんと見てあげないと、と思った。
Y美は、やって来た。
Y美は、入店してからショップの中央近くにたどり着くまでその姿を認められないほど、背が低かった。
いや、背は、いい。
でかすぎる方が、不利な仕事だ。
ルックスは…いいに越したことはなかった。
でも、やっぱり、必至ではない。
私の優先順位は、「売ってくれること」だった。
Y美は、小走りに、カウンターにいた私とサブに近寄ってきて、走りながら、言った。
「あ、あ、あ、こんにちは
、ヘヘへ・・」
私とサブは、たじろいだ。
人の外見をとやかく言っちゃあ、いけない。
でも、でも、
ホントにこんな感じなのだ。
(しかも…へへへって、言った…?)
Y美は一所懸命働くが、なにもかも、私にはどうしようもなかった。
お客さんに小走りで近寄り、小声で語りかける。
お客がびくっとして振り向くと、
「こ、こちら、可愛いです、ケケケ…」
なんとかお買い上げに行き着いても、カウンター越しに、(小柄すぎてカウンターからは胸から上しか見えない)
「イッヒッヒッヒッ、ま、又お越しください、へへへ」
ああああ…
これは…
二ヵ月後、Y美の最終日がやって来た。
でも会社のはからいで、地方の駅ビルで、また研修できそうな形に収まったので、私も気楽に送り出そうとした。
「ごめんね、うちじゃ働けなくて…でも次頑張ってネ」
先に帰らせようとすると、Y美が言った。
「・・・店長、、言いづらいんですが…コ、コレ見てください…」
携帯を開いている。
「なにそれ」
「ニ、二階の鏡の横のラックを映したものなんですが…」
心霊系だと分かった私は、
「あ~、見ない見ない、そういうの」
目の大きいおんなのひとが、映ってると、言う。
「一番心配なのは、店長なんです…」
・・・・・・・
「……霊感でもあんの?」
「私はないんですが、この子(携帯を顔に寄せて、さする)に映るんです。この辺は昔パンパン(
)が多かった通りで、、店長いつも元気ないし、怖いし、なんかなんとなく、憑いているような、感じるんです、お祓いしてもらったほうが、いいです。私の知ってる先生に…楽になるみたいですよ…」
「…その写真、いつ撮った?」
「あ、あ、あ、あの、昨日早番で帰る際に…でも、合成とかと思われても、しょうがないですが、ほ、ほんとで…」
先生と言い出したときに、ケッと思った私は、一瞬信じてびびった自分を恥じながら、
「次の店では、勝手に写真撮っちゃ、だめだよ」
と言って、お引取り願った。
良い人、だけが取り得だと思ってたのが、ガラッと音を立てて、一瞬にしてひっくり返った。
ケケケと笑いながらも、私のことを怨んでたのかも知れない。怖かった・・・・・・・・・・・・・・・・![]()
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