結局私が泣いたのは、前回の記事(5) の夜が最初で最後でした。


次の日から、もう覚悟は決まった。

命に別状がないなら、よかった、そう思えたし、現実は現実だ。


病院に行く日、旦那も付き添ってくれた。

これは珍しき事。休みに動かないタイプ。


名を呼ばれて、私のみが診察室に入った。

「おはようゴザイマス」

出来るだけ元気に言った。

何故か、イランも看護師も、ニコニコしている。


「?」


イランが言った。

「病理検査の結果、良性でした」


「……(心では、なんですって!!??、と言っている)」


「外にいるのは旦那様ですか?もしよかったら呼んでください」、すごい笑顔のイラン。イランにも笑顔があったとは…


わたしは、部屋を出て、旦那の元に走った。

下を向いて、険しい顔をしてる。


「良性だって!!」

「?!?!」(悪性と良性と、どっちがいいんだか、わからないパニック状態)


二人で部屋に戻ると、イランが続けた。


「腫瘍を何箇所か、つまんで調べましたが、癌はありませんでした。しかし、腫瘍自体大きいので、取ったほうがいいでしょう。二週間後くらいに2、3日入院してもらって、取りましょう」


「はい・」

明らかにほっとしてる旦那が、私の頭をなでた。


しかし…

私は、何故か喜ぶという感じではなかった。


入院の説明を受けて、病院を後にする。


「やったああああ」

出たとたんに、旦那が叫ぶ。


「何で喜ばないいんだよッ!喜べ!」

なんか放心状態で、そんな感じじゃない。


「癌なのに、酒もタバコもやってる自分が、信じられないって泣いてたけど、当たり前じゃん、癌じゃないんだから(大笑)」

「(笑)」


病院の近くの神社で、お参りをした。

「癌じゃなかった、ありがとうございます」

シャンパンも買って帰る。


家でお祝いをした。

母に電話しようとしたら、父が出た。

「よかったなあ」

超無口な父が感情をこめて言ってくれた。


時間が立つと、ようやく喜びが、こみ上げてきた。

だって、やっと覚悟がついた直後だ。受け入れたばかりだ。

でも、癌じゃなかったに越したことは、何も無い。

この開放感…

そうだよね…三十代半ばで、大腸癌は、ないだろう。

酒の飲みすぎでも、タバコの吸いすぎでもない、だって私、まだ三十代だよ!?




ええ……

神様はひどいです。いません(笑

また、ひっくり返り、ます…




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