さてさて、二幕。一幕よりさらに長くなってしまいそう…^^;

 

第1場 ヴェローナ市街
♪街に噂が
・ロミオを引っ張り上げたあとの突き放し方が、思いのほか強くて、こちらの胸が痛むやざヴォーリオ…。
・大野・矢崎・小野の取り合せだと、大野ロミオの光や美しさがまぶしすぎて、この曲の時は特にその差が歴然と出てしまう印象だった…残酷。モンタギューの閉塞感が、恋した大野ロミオの光と釣り合わなくなってしまっている。
・古川・馬場・平間は、馬場ヴォーリオと平間キュが大人な分、キャピュレットとの結婚への怒りより、それによって危険にさらされるロミオの身を案じてというのが先行している感じ。ここはちょっと意外だった…。というのも初見の大野・矢崎・平間の時は全然そんな風に感じなくて、同じ平間キュなのにこうも違うか、と。
・小野マキュの「家を守る義務は!?」がすごい辛かった…小野マキュってそんなこと言うタイプじゃないじゃん…やんちゃで義務とか絶対言うタイプじゃないのに、ロミオを引き戻すためにこんな言葉を使わざるをえないんだなぁ…という感じがして。

 

第2場 ヴェローナ市街
♪今日こそその日
・完全に目がイッてしまっているヒロティボ…。
・ギャング感強い大ティボの迫力がそれまでのシーンの5割増。笑

 

第3場 ヴェローナ市街
♪決闘
・「お前はピエロだ、馬鹿なことばかり喋る無様な格好で!まるで売れないロックシンガーだな」って言いながら本当は自分のことこそ嘲笑ってそうでめっちゃつらいヒロティボ。
・ロミオ登場時の「ロミオーー!!!!」の食いかかり方が、完全にスイッチ入っちゃっているヒロティボと、まだ幾分か理性的な様子の大ちゃんティボ。ヒロティボは優しさと繊細さが完全に裏目に出て、自分を見失ってしまった感じでつらい。
・大野・矢崎連合、古川・馬場連合はこの段階で完全に反戦派になってて、マキュ可哀想…(苦笑) 特にやざヴォーリオとはニコイチだったはずの小野マキュが、ベンヴォーリオといつの間にか袂を分かつことになっているの悲しい。
・大野・矢崎・平間の組み合わせだと、ここで完全に狂ってしまったマキュが際立って見える。狂気のスイッチが入ってしまった平間キュと、止めるすべを持たないロミオ・ベンヴォーリオ…。
・ゆんロミは基本的にマキュを振り向かそうとするというか、顔に触れて自分の目を見てわかってもらおうとするんだけど、視線は合っても聞こうとしない小野マキュと、そもそももはやロミオの顔すらまともに見ようとしない平間キュ…。意思の強さは小野マキュの方が強いのかな…平間キュは、まともに見るとほだされそうだから、ロミオの顔を見ることを避けてる気がした。
・平間キュの場合、「街に噂が」の時でロミオが話を聞かなかったことが今逆転してるんだな、っていうのを痛感した。ティボルトは「お友達の説教聞いて!」と揶揄するけど、そのお友達の説教をロミオが聞かなかったから、平間キュはこうならざるをえなかったんだよ…。

♪マーキューシオの死
・平間キュは、表情も声もすごく優しくて、まるで普段の軽い口喧嘩の後かのような穏やかさで、ゆんロミを許して逝くんだな…って号泣だった。というより始めから怒ってなんかなかったんだな、って。ジュリエットとの結婚のことも、ロミオが死角を作って自分が刺されたことも、「どうしてそんな不器用なんだ」で受け容れてるんだと思います。
・小野マキュはまず歌い方が独特で…ブレスや抑揚を極力抑えたような印象で、命が風前の灯であることを表現されてたような気がします。
・「お前の腕の中で」と言うけど、あなたを今支えているのはベンヴォーリオだってことを忘れないで…!!!(笑)

♪代償
♪ヴェローナⅡ

も~~~~ここが二幕最大のWキャストの見どころで醍醐味、と言っても過言ではないですね…!ロミオとベンヴォーリオの関係が、ペアによってまるで違う。
・大野ロミオと矢崎ベンヴォーリオ:ロミオが完全にヒロイン化そして幼児化。ベンヴォーリオはその本来の明るい「光」を消すまいと、必死に守っているイメージ。そしてロミオはベンヴォーリオのその優しさに縋っている。「裁きを!」と言う声にビクッとなって、さらに身を縮めるロミオは子どもにしか見えなかったし、それをひときわ強く抱きしめるベンヴォーリオは母にも恋人にも見えた。そしてこの二人はマキュの死を一緒に嘆きあっている二人。マキュの遺体が運ばれるときのロミオの縋り方は涙を誘うし、ベンヴォーリオもロミオを抱きしめながら、共にマキュを悼んでいる。
・古川ロミオと矢崎ベンヴォーリオ:古川ロミオがもう完全にこの世のものではない。絶望に飲まれて、どんどんと現実から遠いところへ行ってしまっている。矢崎ベンヴォーリオはマキュの死を嘆きロミオを抱きしめながら、古川ロミオがどんな表情をしているか見えていないというか、彼が闇に引きずられていくのを、気づくことも止めることもできない。このベンヴォーリオの無力さが、非常に残酷…。
・古川ロミオと馬場ベンヴォーリオ:こっちは逆に、とにかくロミオをなんとかこの世につなぎとめるのに必死、という感じで…。ベンヴォーリオはずっとロミオを見ていて、彼が遠くへ行ってしまわないように、抱きしめたり、頬を打ったりしながら、とにかく気をこちらに向けようとしている。馬場ヴォーリオはずっとロミオの抱えている闇に気づいていた感じがするので、たぶんなおのこと。その姿が必死すぎて、彼には親友のマーキューシオの死を悼む余裕すらないことがわかって、かえってそれに号泣させられました…。

・こんなに印象が違ったので、大野ロミオと馬場ヴォーリオの組み合わせ、本当に見てみたかった…!


第4場 ロミオの葛藤
♪憎しみ~エメ
・「僕は憎む、自分の中にある、黒い炎、それは憎しみ」の印象がまるで違う。
・大野ロミオは「黒い炎/憎しみ」を憎んでいる印象。おかしな言い方かもしれないけど、「罪を憎んで人を憎まず」みたいな。その憎しみを爆発させた歌い上げ方は、迫力があって素晴らしかった。本人は気づいていないと思うけれど、彼自身の「光」はまだ失われていない印象だった。
・古川ロミオは「黒い炎・憎しみを抱えている自分自身」を憎んでいる印象。「人の命!奪うなど」の台詞回しが好きだった。「誰より悲しむその人は…ジュリエット…」で(悪い言い方だけど)逃げ場を見つけなければ、おそらく彼は彼自身を保ってはいられなかっただろうな、と思う。闇の迫力がすごい。

 

第5場A ジュリエットの居室

第5場B ロレンス神父の庵
♪神はまだお見捨てにはならない
・指輪を渡された古川ロミオの縋り方がハンパじゃなかった。ジュリエットだけが彼がまだ生きている拠り所だった。
・大野ロミオはあどけない表情がかわいい。あれは応援したくなる。

 

第6場 ジュリエットの寝室
♪ひばりの歌声
・ここも組み合わせでまっったく印象違った…。
・基本的に大野ロミオは、ジュリエットを守ろう、というスタンスかな。うなされて起きたのにつられたジュリエットに、「安心して」というように優しくキスをして、ジュリエットを包むように抱きしめる身体からは、ジュリエットを守って生きていきたい、というような意思が感じられた。
・古川ロミオは、起きた時にまず額にキスから入るのが素敵だったなぁ。いくジュリのことはまだ守る気ありそう。だけど、はるジュリ相手だと完全に守られる側!笑 ロミオがジュリエットに縋りながら、ジュリエットも決して強くはないのだけど、その愛でロミオを包む姿が美しかった…。ここはゆんロミ×はるジュリが、他の三組と大きく印象が違った気がします。


第7場 キャピュレット家内
♪明日には式を
・はるジュリがずっと辛そうで…ロミオへの強い想いがロミオと離れてからより一層伝わってきた。愛し尊敬していた両親に向かって「私の親じゃない」と突きつける声も、絞り出すようで、涙なしには観れませんでした…。
・一方、いくジュリにストレートに「私の親じゃないわ!」って突きつけられるのは、ご両親なかなかキツイだろうな、って感じで…(苦笑)

♪娘よ
・キャピュレット卿見せ場ですね。前回の禅さんは、ここで情け深さMax!って感じで泣けたんですが、それよりは今回はクールだったかな、と。でもそのクールの中から漏れてしまうジュリエットへの思いが渋くてかっこよかったです。

・この後のシルビア乳母とジュリエットの口論が精神的に割とキツかったです…。ジュリエットも余裕がなくてひどいこと呟いてしまうのだけど、その一方で乳母がどんな顔して「でなきゃ地獄に落ちます」と言っているか見えてないのですよね…。たとえ自分は地獄に落ちてもお嬢様だけは幸せに、という乳母の強い愛が、ジュリエットには見えていない悲劇。このすれ違いの結果ジュリエットは乳母という貴重な取次を失うことにもなり、二人の最期につながっちゃうのがなんとも辛い…。


第8場 マントヴァの街~ロレンス神父の庵
♪彼女無しの人生
・いっつも「ひばりの歌声」で「あぁロミオとジュリエットが一緒に歌うラストナンバーだぁぁ;;」と思ってしまうんですけど、実際にはこれがラストナンバーなんですよね。二人のハーモニーをじっくり聴いて、名残を惜しんでました。

 

第9場 ヴェローナ市街あちこち
♪狂気~服毒
・やざヴォーリオの場合、大野ロミオを失ったモンタギューを制御できないのが、リアルすぎてなかなか辛かった…ロミオという光を失ったモンタギューの暗さが際立った。
・はるジュリの純粋ゆえに恐れをまったく感じさせない服毒シーンがぞくっとしたなぁ。

・シルビア乳母の「ジュリエット様が亡くなった!」が本当に悲痛で、今も思い出して涙目…。

 

第10場 マントヴァへの道
♪どうやって伝えよう
・やざヴォーリオが卑怯なことした。「マーキューシオさえ」で声震わせて崩れ落ちるのは卑怯。あんなん泣くしかない。
・やざヴォーリオにとってはこの歌は、「成長と勇気」という感じがしました。ロミオを傷つける事実を告げることや、辛い現実から逃げることをやめる決意、といいますか。
・一方馬場ヴォーリオは、「他の誰にも伝えさせない、自分の口から伝える」というロミオへの愛と覚悟を感じました。そして歌詞どおりの「青春への決別」かな。切なくて泣いた。

♪ロミオの嘆き
・「世界のすべてが闇に沈んだ」と歌う大野ロミオですが、まだ光は残っていたと思う。彼自身がそれをわからなくなってしまった不幸が、事態をあのフィナーレに持っていってしまった気がします。
・古川ロミオはもう言わずもがなのどん底。薬(というか死)を求める目の狂気が凄くて、死すらその迫力に押されて渡すことを躊躇したように見えたぐらい…。

 

第11場 キャピュレット家霊廟
♪ロミオの死
・古川ロミオの泣き崩れ方がやっぱり圧巻だったなぁ…。まぁ本当にこの人は「終わりだ」ったと思う…。
・大野ロミオは、「待って!もうちょっとだけ待って!早まらないで!」って思ってしまう。いろんな人が言ってる「生存ルート残ってそうなロミオ」だからかな…。

♪ジュリエットの死
・はるジュリが本当に無邪気に、ロミオと再会できたこと、一緒に旅立てることを喜んで、抱きつく。その拍子に心臓が止まっていることに気づくところ、めっっっっっちゃくちゃ好きでした……。涙腺決壊。
・はるジュリは死ぬ瞬間、すごく大人びた表情に見えるんですよね…それこそロミオから「死」を取り込んでしまったように。純真からの変貌…いやそれゆえの変貌でしょうか、それがこちらの「何故こうなってしまったのか」という絶望感を煽りました…。
・いくジュリちゃんは対照的に、ものすごく淡々と、というか自然と、ロミオのそばに行くことを選択する感じで、これもこれで良かったです。特に大野ロミオ相手の時は、普通の若いカップルだった二人が、こんな悲劇に導かれてしまって、「ただ自分達らしく生きる夢が破れた」感も相まって泣けた…。

♪何故
♪罪びと~エメ

・大フィナーレ。悲劇の中から、モンタギュー・キャピュレットが双方だんだんと手を取り合っていく様子が、ベタですが泣けました。
・あとベンヴォーリオがモンタギューの皆を促してロミオとジュリエットの手を結んであげたり、キャピュレット夫妻にキャンドルを渡したり、大公殿下をエスコートしたり、すごく大人びててまぁ泣ける…。
・その光景に苦しむ死、最後にフッと消えるキャンドル、死だけに明かりが当たって息絶える、という演出も毎回鳥肌立ってました。好悪ありそうですが、私は好きです。

 

以上、シーンごとに振り返ってみました。ほぼキャストの話しかしてない…(笑)どうもキャストの演技にばかり目がいってしまう癖があって…でもまぁ舞台効果面の考察は、きっと他の方がやってくれてると思うので!(他力本願)

 

次の記事で(おそらく)締めくくりになるかと思います!