東京都西東京市のひばりヶ丘にある「みむら矯正歯科」の院長 三村です。

連休で岳父の家に移動する間、「孤高のメス」の著者である大鐘稔彦氏の「患者を生かす医者・死なす医者」という単行本を読みました。
外科医としての力量を習得するためには、一定以上の経験が必要であり、その経験の上にさらに種々の経験を積み重ねてだんだん円熟していくのですが、外科医としての旬は意外と短いという趣旨のことが一貫として書かれている感じでした。

「患者を生かす医者」は人間性も問われるのですが、何より疾患を見極めるセンスを有する必要があり、その上でしかるべき臨床経験を積む必要があり、さらに対患者のみならず対「コ・メディカルスタッフ」の人間関係を上手く構築する術も必要であるという趣旨かとも解釈しました。
一言で言うことは簡単ですが、臨床医としての「センス」(著者はそのように書いていませんが、)は非常に大切であると感じています。
私位の年齢になると、いろいろなところで若い矯正歯科医と話す機会に、診断能力や治療の仕上がりを見る能力に非常に個人差があることは感じています。
センスの無い歯科医師は、残念ながらどんなに努力しても、一定以上にはならないという感覚を持っています。
(多くの方々の反論もあるでしょうが、正直なところです。ガーン)
しかし、もっと大切なのはたゆまぬ努力を続けていることだろうと思います。
エジソンが言うように、「天才は1%の閃きと99%の努力」なのだと思います。
また若いとき(と言っても、歯科医師になるのが早くても24歳ですから、30歳前位でしょうか。。)に、多くの経験を積み、良い臨床に触れた人間はその後、良い矯正歯科医になっているということを肌で感じているだけに、大鐘氏のエッセイには共感を覚えました。

矯正歯科医は、患者さんを生命の危機から救うことは無いですが、患者さんの生涯のQOLをどれだけ向上できるか?という点や、患者さんの負担を少なくしてどれだけ咀嚼機能を向上できるか?、さらには生涯どれだけ自分の歯で噛んでいけるように仕上げるか?という点で、「矯正歯科医選びは患者さん自身の生涯を決める」といっても過言ではないと信じています。
「患者のQOLを高める矯正歯科医・下げる矯正歯科医」という本を書きたいくらいですべーっだ!