東京都西東京市のひばりヶ丘にある「みむら矯正歯科」の院長 三村です。

矯正歯科治療は、積極的に歯を動かして不正咬合(悪い歯並びやかみ合わせ)を正しく整える「動的治療」の時期と、その状態を維持するための「保定」の時期があることは、歯科医師ならもちろん矯正治療を経験した方ならご存じのことと思います。

歯を移動するためには、押している側の歯根周囲の骨を「骨を食べる細胞」に吸収してもらい、引っ張られている側に「骨を作る細胞」に骨を作ってもらう必要があります。
この作業は矯正歯科医が行うのではなく、自身の体の中の細胞に仕事をしてもらうことになります。
家でも「スクラップ&ビルド」だと、家を壊す作業は2日程度で終わったとしても、新しい家の上棟までには1ヶ月ほどがかかるのと同じで、骨を新しく作るのには時間がかかります。
さらには昔からの骨と新しい骨の区別がつかなくなるためには、骨の代謝が一巡するだけの期間(2年)が必要になります。

従って、保定期間は一応2年間が目安と言われていますが、2年を過ぎても歯は動きます。
それは「親知らず」が押してくることも原因ですし、悪い習癖によって舌や頬の筋肉から変な力がかかれば動きます。
さらには加齢変化によって骨が痩せてくることによっても起こります。
口蓋裂の患者さんでは瘢痕組織の収縮によっても生じます。
従って、良い歯並びを維持するためには保定装置を使い続けることも必要ですし、使用を中止した場合でも定期的に観察を続け、先手を打っていく必要があります。

患者さんには治療開始前に丁寧に説明し、書面にも記載して署名押印をいただき、装置撤去の際にも話し、さらには保定装置の撤去の際にも話していますが、装置を撤去して全く来院されずに、何年もしてから「戻った!どうしてくれる!」と訴えて来院される方が多くなっています。ショック!
戻ったといっても最初の状態に比べれば遙かにましなのですが、装置撤去の際の完璧な状態と比較すると凸凹が出ていたりはします。
保定期間中も、さらには保定期間を過ぎても定期的に通院していただくことの大切さを理解していただきたいと思います。にひひ