東京都西東京市のひばりヶ丘にある「みむら矯正歯科」の院長 三村です。

久しぶりの更新です。
日本臨床矯正歯科医会
の6月例会があったり、その際に決算総会があったりで、矯正歯科医会の仕事に追われておりました。


今日、相談にいらした患者さんですが、8年前に矯正治療を開始し、6年前からブレースを外して、上下に取り外し式の保定装置(プラスチックの歯のない入れ歯のようなもの)を使用していました。
ところが2年前に治療をしてくれた先生が逝去し、医院が閉院になったということで、ハガキで連絡が入ったものの、装置は使えていたし、問題がなかったため何もしていなかったようです。
ところが、最近、下の装置が壊れて下の前歯に凸凹が出てきたため、いつもかかっている一般歯科の先生に相談し、当院を紹介されて「保定装置を作って欲しい」と訴えて来院されました。

良く勘違いされるのですが、矯正治療で良い歯並びと咬み合わせを作っても、何もしないで、その状態が一生維持できることはありません。
骨の代謝は約2年で一巡しますから、2年間は保定装置を使用することが絶対必要です。

その後も、親知らずに押されることや習癖(舌の癖や歯ぎしりなど)でも歯は動きます。
何より、下顎の前歯部の表側の皮質骨(骨の硬い部分)は年々内側に迫ってきますので、下顎前歯部の歯列の曲率(R)はきつくなる方向に変化します。
ですから、矯正治療をしていない方でも下顎前歯部は加齢変化で凸凹が出ます。
今日の初診の患者さんもそのパターンかと思います。

患者さんには「6年間保定をしても歯は一生動くこと」でも「その気になれば、いつでも治せる」ことをお伝えし、どこまで動くかを見て、自分で「許せない」と思ったら、取り外し式でも固定式でもいいから装置を使用して、再度直したらよいのではないか!」とお伝えをして、様子を見ることにしました。
黙って装置を作った方が経営的には良いのでしょうが、正しい情報をお伝えすることや患者さんに判断していただく事はもっと大切だと思います