あれから
何度かあの子とすれ違っ たο
出会うのは決まって昼、
いつも家の近くだったο
そのたびに鼓動が早くなり、
僕はぎこちなく、でも出来る
だけさりげなくちらりと
彼女に目をやるのだο
あの子のほうも、たびたび
出会う僕の事は覚えている
ようだったο
もちろん
ほんの一瞬目が合うだけ
なのだけれどο
彼女の名前が知りたい、
言葉を交わしてみたい…
その思いは僕の中で
大きく膨らんでいたο
そして今日ο
思いもよらない事から
その願いが実現したο
大学へ出かけるために
勝手口の戸を開けると、
あの子が立っていたのだο
驚いた僕らはいつもより
ほんの少しだけ長く
視線を交わし、その後すぐ
彼女は頬を赤らめ目を伏せた
その純情さがとても
いとおしいο
戻ってから女中に聞くと
彼女の名前が「小梅ちゃん」
であること、植木職人の父上
のためにお弁当を届けに来て
いるのだということを教えて
くれたο
なんということだろう、
あの子は毎日僕の家に来て
いたのだο
続く( ^ω^ )