日銀の異次元緩和の提唱者の一人である浜田宏一・内閣官房参与が反リフレ派の元日銀幹部とシンポジウムで激突した。異次元緩和が失敗ではないかという意見も多くなりつつある中、浜田宏一・内閣官房参与もマスコミに八つ当たりしたり、インフレ目標は1%でもいいのではないかと、予防線を張りだしている。異次元緩和の失敗が白日の下に晒されたとき、浜田氏はどう言い訳するのだろうか。
2017年8月23日 エコノミスト編集部
日銀の異次元緩和もむなしく、インフレ目標2%は遠い。安倍晋三政権の政策ブレーンである浜田宏一・内閣官房参与はこの状況をどう見るか。シンポジウムで反リフレ派と激突した際の模様を、週刊エコノミスト8月29日号からお届けする。
浜田氏はメディア批判も
景気は拡大し雇用も増えているが、インフレ率は目標とする2%に届かず、成長力も高まらない--。
アベノミクスの効果や問題点を考えようと、神戸大学経済経営研究所主催のシンポジウム「アベノミクス再考:グローバル日本の金融・財政政策」が8月8日、神戸大学で開かれ、安倍政権の経済政策のブレーンである浜田宏一・内閣官房参与(米エール大学名誉教授)とアベノミクスに懐疑的な元日銀金融研究所長の高橋亘・大阪経済大学教授が激突した。
浜田氏は冒頭の講演で「アベノミクスでうまくいっているのは雇用と企業収益。アベノミクスが失敗という指摘にはまったく根拠はない。それなら5年前(の失業率の高い時代)に戻っていいのか」と強調。リーマン・ショック(2008年)後の日本経済の落ち込みについて、日銀の白川方明・前総裁時代の金融政策を「金融緩和しなかったために円高となり、日本はものすごく損をした」と批判した。
一方で、アベノミクス後の金融政策について「15年の終わりごろから円高になり、金融政策が効かなくなってきた」との認識を示した。日銀が目指す2%のインフレ率目標は「石油価格が下がっているので、その影響は除外してもいい」と述べ、「(インフレ率が目標に達しないからと)黒田東彦総裁を糾弾するのが日本のメディア。特に朝日新聞と毎日新聞。森友学園、加計(かけ)学園の問題も、本当は構造改革の問題なのに報道にバイアスがかかっている。安倍政権の構造改革をマスコミが妨害している」とメディア批判に転換した。
「インフレ目標1%でもいいかも?」
これに対し、高橋氏は「現在の景気回復は外需に支えられており、どの程度がアベノミクスの効果なのかは議論の余地がある。インフレ率2%、実質成長率2%を持続的に実現するのが本来の目標だったはずだが、いずれも未達だ」と指摘。日本経済の実力を示す潜在成長率は、日銀の試算でも16年度下半期で0.75%と思うように高まらない現状に言及した上で、「政府の目標が高すぎることで、財政再建や年金財政に大きな影響が出る。目標をより現実的にして出直すべきだ」と主張した。
さらに、「インフレ期待(人々のインフレ率の将来の予想)と潜在成長力は非常に連動している。デフレ脱却という問題意識の設定には賛成だが、インフレ率が上がらないのは企業や家計に成長率が上昇していくことへの確信がないからだ」と提起。大胆な金融緩和を主張するリフレ派と呼ばれる経済学者の考え方について「日銀がお金を増やせば銀行貸し出しも増えるといっていたが、企業も成長への確信がなければお金を借りない。それを無視した議論をしてきたのは経済学者の責任だ」と述べた。
続く、浜田、高橋氏の直接対談では、「必ずしもインフレ率2%にこだわる必要がないのではないか」という高橋氏の指摘に対し、浜田氏は「インフレは我々にとっていいことではない。雇用がよければインフレ率は低くてもいいのでは。(エネルギーや食料品を除いた)『コアコア』の物価指数で、場合によっては1%(の目標)でもいいかもしれない」と2%にこだわらない考えを表明。日銀が目標としてきた根幹が揺らぎかねず、アベノミクスに転機が訪れていることを示唆した。
「インフレ目標1%でもいいかも?」
これに対し、高橋氏は「現在の景気回復は外需に支えられており、どの程度がアベノミクスの効果なのかは議論の余地がある。インフレ率2%、実質成長率2%を持続的に実現するのが本来の目標だったはずだが、いずれも未達だ」と指摘。日本経済の実力を示す潜在成長率は、日銀の試算でも16年度下半期で0.75%と思うように高まらない現状に言及した上で、「政府の目標が高すぎることで、財政再建や年金財政に大きな影響が出る。目標をより現実的にして出直すべきだ」と主張した。
さらに、「インフレ期待(人々のインフレ率の将来の予想)と潜在成長力は非常に連動している。デフレ脱却という問題意識の設定には賛成だが、インフレ率が上がらないのは企業や家計に成長率が上昇していくことへの確信がないからだ」と提起。大胆な金融緩和を主張するリフレ派と呼ばれる経済学者の考え方について「日銀がお金を増やせば銀行貸し出しも増えるといっていたが、企業も成長への確信がなければお金を借りない。それを無視した議論をしてきたのは経済学者の責任だ」と述べた。
続く、浜田、高橋氏の直接対談では、「必ずしもインフレ率2%にこだわる必要がないのではないか」という高橋氏の指摘に対し、浜田氏は「インフレは我々にとっていいことではない。雇用がよければインフレ率は低くてもいいのでは。(エネルギーや食料品を除いた)『コアコア』の物価指数で、場合によっては1%(の目標)でもいいかもしれない」と2%にこだわらない考えを表明。日銀が目標としてきた根幹が揺らぎかねず、アベノミクスに転機が訪れていることを示唆した。