浜矩子氏 「世界分断と排他主義が進むのか分岐点の年に」 | 21世紀のケインジアンのブログ

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「どアホノミクス」という辛口評論で知られる浜矩子氏が2017年を展望している。

「グローバル化」に対するきちんとした仕分けが改めて必要だと認識が重要だという部分が一番目を引いた。グローバル化は単なる現象であり、格差や貧困を阻止できないのは、国家の対応のまずさや無力が根源的な問題なのに、グローバル化=悪になってしまっているので、結果的に右翼や排外主義者にお墨付きを与えている。これはとても危険なことです。ここがこのインタビューの肝だと感じた。
 

つまり、「反グローバル」って実に質が悪いんです。グローバル化が人間を不幸にする、格差や差別、貧困を生んでいる、という感覚を世界の市民が持ってしまっている。しかし、実際はグローバル化は単なる現象であり、格差や貧困を阻止できないのは、国家の対応のまずさや無力が根源的な問題です。グローバル化にうまく対応すれば、国境を超えた幅広い共生を実現できるのです。ところが、グローバル化=悪になってしまっているので、結果的に右翼や排外主義者にお墨付きを与えている。これはとても危険なことです。
 

 

世界の分断と排除の論理がさらに進むのかどうか―─。来年は分岐点となるのではないでしょうか。

 それは2つの観点から言えます。ひとつは、米国のトランプ次期大統領に代表されるポピュリズムの台頭であり、反グローバルの旗印があちこちであがっていることです。イタリアで「五つ星運動」がどれだけ勢力を伸ばすのか。オーストリアは大統領選ではとりあえず極右の勝利は免れましたが、次はどうなるかわからない。仏ではルペン党首の「国民戦線」が勝利するのかどうか。独ではメルケル首相が勝ち抜くと思われているものの必ずしも断言できる状況ではなく、極右政党の「ドイツのための選択肢」が伸長すると展望されている。反グローバルの名の下に、極右排外主義的な政治社会傾向がぐっと強まる方向に行ってしまうのかどうか。

 2つ目は、金融環境が大きく変わる気配のあることです。トランプ新政権で財政大盤振る舞い体制に入るので、米国は出口のドアを開けることのできなかったゼロ金利の世界から、強制的に引っ張り出されることになります。米国が金利をグッと引き上げる方向に動けば、世界中のカネが米国に吸い上げられる。そうなると、各国が自己防衛のためにこぞって資本の流れを規制し始める。経済の反グローバルです。特にトランプ氏はTPPではなく2国間の通商協定と言っています。これはブロック経済構築の流れに近くなるんですね。戦間期の時代模様に逆戻りということになってしまいかねません。

「反グローバル」って実に質が悪いんです。グローバル化が人間を不幸にする、格差や差別、貧困を生んでいる、という感覚を世界の市民が持ってしまっている。しかし、実際はグローバル化は単なる現象であり、格差や貧困を阻止できないのは、国家の対応のまずさや無力が根源的な問題です。グローバル化にうまく対応すれば、国境を超えた幅広い共生を実現できるのです。ところが、グローバル化=悪になってしまっているので、結果的に右翼や排外主義者にお墨付きを与えている。これはとても危険なことです。

 さらに厄介なのは、グローバル化を利用して自分たちだけが勝者になろうとする新自由主義者の存在です。悪いのは新自由主義であって、人・物・カネが国境を超えて出あったり、結びつくことが内在的に悪だとは言えない。むしろ引きこもって外から人を入れない方が悪だと言ってしかるべきです。ここに「ねじれ」が生じている。「グローバル化」に対するきちんとした仕分けが改めて必要だと感じています。

いずれにしても、最も悲観すべき状況になる可能性はある。警戒しなければならないのは、「まさか」という言葉です。「まさか、そんなことはないだろう」と思っても、「まさか」は必ず起こる。歴史が我々に示してくれています。

▽はま・のりこ 1952年生まれ。一橋大卒。三菱総研ロンドン駐在員事務所長などを経て、02年から同志社大教授。「さらばアホノミクス」など著書多数。

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/196464/1