松田喬和のずばり聞きます 安保法案を批判した山崎拓氏、亀井静香氏 | 21世紀のケインジアンのブログ

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現役の自民党議員が声を上げないから、長老・OBが声を上げざるを得ない。小林よしのり氏を講師に招いて行なわれる筈だった若手リベラルの勉強会も安倍首相に潰されてしまった。元自民党副総裁の山崎拓氏と元金融担当相で無所属の衆院議員、亀井静香氏(下記の動画の記者会見には藤井裕久氏、武村正義氏も登壇)の怒りの声を聞いてほしい。

毎日新聞 20150626日 東京夕刊

◇「後方支援」は実質戦闘 元自民党副総裁・山崎拓氏

 ◇米国への過剰サービス 衆院議員・元金融担当相、亀井静香氏

 「老いては子に従え」と言うが、すわ国家の一大事となれば話は別である。先日、共同記者会見を開き、一連の安保関連法案を批判した元自民党副総裁の山崎拓氏(78)と元金融担当相で無所属の衆院議員、亀井静香氏(78)。松田喬和・毎日新聞特別顧問が、自民大物OBの「咆哮(ほうこう)」を聞いた。【構成・石塚孝志、江畑佳明、写真・小出洋平】

 ◇外交ツールにされる自衛隊/「対等」目指した岸元首相の考え誤解

 --今国会が戦後最長となる95日間も延長されることになりました。

 亀井氏 本来は解散総選挙で国民に問うべき事案なのに、1回の国会審議だけ、というのはとんでもない。しかも参院の意向に関係なく成立させようという意思表示(参院送付後、60日以内に採決されなければ衆院で再可決できる「60日ルール」適用が可能になるため)でもあり、常軌を逸しています。参院の自民党も怒るべきだ。

 山崎氏 憲政の常道ではない。自民党総裁選が国会会期中の9月20日にセットされましたが、重要法案審議中の総裁選も異例で、安倍晋三首相の無投票再選も狙っているのではないか。その意味でも邪道です。

 --山崎さんが自民党幹事長当時にまとめたイラク復興特別措置法と、審議中の安保関連法案では具体的には何が大きく変わったのですか。

 山崎氏 まずは恒久法としたことと、「後方支援」を名乗って、武力行使を容認したことです。恒久法では、イラクなどへの自衛隊派遣のように有効期限を決めた特別措置法とは異なり、いつでも自衛隊を派遣できます。また、後方支援というのは、武器や燃料などの補給機能を担う兵站(へいたん)のことです。敵は継戦能力を断とうと、必ず攻撃してきます。自衛隊も武装しないと守れませんから、実質的に戦闘行為になってしまう。それが分かっているのに戦闘行為には加わらないとか、危ないところには行かないとか、できもしないことを言って国民を欺まんし、この法案を通そうとしています。

 そもそも国際軍事情勢の変化って何だといえば、主として中国の軍事力の膨張と海洋進出、及び北朝鮮の核ミサイル。それは周辺事態法で対処してきたことであって、それを補強すればよいと思うんだけど、重要影響事態法と名前を変えてしまってね、全地球規模でやるというんです。

 --亀井さんは、安倍首相とは長い間、国のあり方とか安保問題を話し合われてきた仲では。

 亀井氏 安倍首相が本来考えている憲法改正というのは、独立国家としての国民の強い意志をきちっと背骨にして、米国発米国製のものではない、日本人の魂の入った憲法を作りたい、伝統文化をきっちり守っていきたいということだと思いますよ。それを解釈改憲など小手先のことをしたら、本来、首相が考えているような改憲はできなくなりますよ。やはり首相は堂々と国民に対して正面から訴えて、選択を迫るべきです。今回であれば自衛官が戦死する話ですから、リスクなんて生やさしい話ではありません。米国との共同作戦の中で自衛官が戦死し、ひつぎがどんどん送り返されてくる事態への覚悟があるのかが問われている。

 山崎氏 もう一つ問われているのは、外務省がタブーにしてきた日米安保体制の見直しです。それを指摘すると外務官僚は「シーッ」と口を押さえるんですよ。

 日米安保体制の基本的な仕組みは「日本は憲法の制約で米国のために集団的自衛権を行使できないので、その代わりに基地を提供する」ということなのですが、今回、限定的とはいえ集団的自衛権を行使するということだから、その一点からして基本構造を大転換させた。しかも、極東だけではなく全地球的規模で、欧州や米本土の基地からも出動する米軍に日本がついて後方支援をするというのは、日米安保体制をはるかに超えている。

 亀井氏 米国にとって大事なのは、日本の基地を維持することです。23日の沖縄慰霊の日に首相が沖縄に行きましたが、沖縄では安保法制に圧倒的多数の人が反対ですよ。米国から見たら、基地周辺で反対運動が激化すると、基地が使えなくなるんです。沖縄の人の意思を踏みにじってまで地球規模で自分たちを手伝ってくれる日本政府の「過剰サービス」はありがたいけれど、多くの日本人の疑問が米軍基地提供にまで及び、「集団的自衛権を行使するなら基地を撤去しろ」となったら困るんです。だから、日米関係というのをもう一度冷静に、首相も政府も考えるべきだと思いますよ。

 山崎氏 この日米安保体制の大転換を国民に気付かれたら政府は大変だし、基地の円滑な運用ができなくなれば米国も怒りますよ。

 --安倍首相は、安保改定をした祖父の岸信介元首相を意識していると言われます。

 亀井氏 安倍首相は、岸元首相について間違った理解をしていると思います。少々の国民の反対や学者やメディアがなんと言っても、乗り越えるのは当たり前だし、おじいさんはやった。自分も固い意志で乗り越えていくと思っている。ところが岸元首相が考えた日米関係は、真の独立国として対等な関係を作りたいということで、今首相がやっている、米国に従属するようなこととは違います。占領時代から続く軍事基地を提供したのは冷戦下では日本だけでは自国を守れず、米国の助けが必要だったからです。米国の戦略に従って、自衛隊が外国に出ていって戦うことまでは想定していなかった。

 山崎氏 外交のツールに自衛隊を使うことは、外務省の宿願でした。今まで日本は政府開発援助(ODA)の予算を世界にばらまくことを外交のツールとしてきましたが、今や最盛期のようにODA予算が使えません。彼らの外交の武器が弱くなって、「外交の最後の手段」として軍事力の行使を日本もしたいということで、自衛隊を世界に出すことを考えたのでは。

 --万が一、法案が成立すると、どのような事態が起きると思いますか。

 亀井氏 例えば米国が過激派組織「イスラム国」(IS)との地上戦を始めれば、必ず集団的自衛権の行使を日本に求めてきます。戦場で自衛官が戦死するのは当たり前ですね。それ以上に怖いのは、国内です。何もシリアに行った者を捕まえて人質にする必要はないんです。この東京にやってきて、松田さんを狙って殺して声明を出せば済む話です。私はかつて(警察庁でテロ対策の)責任者をやっておったんです。小集団なり個人が命を懸けてやるテロを警察が事前に探す力はありません。私が断言します。

 --今後、どのようなアクションがあれば、安保関連法案が事実上撤回される、もしくは廃案になるでしょうか。

 山崎氏 この法案が成立しなければ政権へのダメージは大きいので、60日ルールを適用できるタイミングを見計らう形で、7月半ば過ぎには衆議院で強行採決もあり得ます。安倍さんは並々ならぬ決意だけに、阻止は難しいでしょう。しかし法案に反対の国民世論が大きくなって、世論調査で不支持が支持を上回るようになれば、断念せざるを得なくなるでしょう。

 亀井氏 安倍首相は「議会制民主主義の王道を歩んでいくべきだ」と言っていますが、今の自民党のやり方は、形の上では民主主義の手続きをとっているものの、実際は民主主義や立憲主義を無視しています。形だけとればいいということをすれば、ナチスだってそうですよ。それでやれば成立しますよ。簡単に。しかし来るべき参院選、衆院選からは決して逃れられない。強権的にやればやるほど、国民の審判を仰ぐ選挙が巨大な壁となって待ち受ける。その覚悟はあるのかと言いたいです。

 --12日には日本記者クラブで、武村正義元官房長官(80)と藤井裕久元財務相(83)との4人で緊急共同会見をして、安保法制への反対を表明しました。今後、お二人はどう行動されますか。

 山崎氏 私はもう国会議員ではないので外野から世論に警鐘を乱打し続けたい。黙って見ておれません。

 亀井氏 ポイントは野党が体を張ってでも法案を阻止するかどうか。それによって国民の見る目が変わってきます。私は安保法案反対の勢力が、ある意味で「行儀悪く」振る舞えるよう、努力をしたいと思っています。

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 ■人物略歴

 ◇やまさき・たく

 1936年、中国・大連生まれ。早大卒。サラリーマン、福岡県議を経て、72年衆院選初当選後、12回当選。防衛政策に精通し、防衛庁長官、自民党幹事長などを歴任。

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 ■人物略歴

 ◇かめい・しずか

 1936年、広島県生まれ。東大卒業後、警察庁入庁。79年衆院選初当選。建設相、自民党政調会長などを歴任した。2005年、国民新党を結党するも12年に離党。現在13期目。

 

山崎拓氏、亀井静香氏、藤井裕久氏、武村正義氏 安保法制に関する緊急会見 2015.6.12