内部告発などで雑誌メディア、一部のジャーナリストの間では既に報じられてきた話が、とうとう、表沙汰になりました。労働者派遣法で禁止されている建設業務に組員などを作業員として派遣したとして、福島県警が指定暴力団住吉会系暴力団幹部を逮捕しました。現場の作業員の内部告発などでは、現場はこのような違法派遣者なしではやっていけない状態であることがわかっていますし、その間に暴力団が関与していることも公然の秘密となっていました。また、原発事故後、原発作業員の危険性が広く知られたため原発作業員が以前より集まりにくく、作業員集めにおける暴力団の役割は以前にも増して高くなっていると言われています。
一体、このように暴力団に頼らなければやっていけない原発というものは持続可能なのでしょうか。逮捕された暴力団幹部は福島第一原発だけでなく、「2007年から他県の原発にも派遣を行っていた」と他の原発にも作業員を送り込んでいることを供述しているそうです。この事件は、単に、福島第一原発だけの問題に矮小化することなく、日本の原発の現場がいかに暴力団に依存しているのかをあぶり出して国民にその実態を示してもらいたいと思います。そして、その上で、このように暴力団に頼らなければやっていけない原発というものは持続可能なのかということを国民に問う必要があるのではないでしょうか。
- ヤクザと原発 福島第一潜入記/鈴木 智彦
- ¥1,575
- Amazon.co.jp
福島第一原発の復旧工事に組員派遣、組幹部逮捕
労働者派遣法で禁止されている建設業務に組員などを作業員として派遣したとして、福島県警は22日、指定暴力団住吉会系暴力団幹部で同県二本松市成田町、自称人材派遣業大和田誠容疑者(33)を同法違反(禁止業務派遣)の疑いで逮捕した。
発表によると、大和田容疑者は昨年5~7月、事故のあった福島第一原発の復旧工事現場に、組員や組の関係者計5人を作業員として派遣し、建設業務に従事させた疑い。栃木県の建築業者が工事を請け負っていた。電源を確保するケーブル敷設工事を行っていたという。県警によると、福島第一原発の復旧工事で暴力団関係者が逮捕されるのは初めて。
調べに対し、大和田容疑者は容疑を認め、「2007年から他県の原発にも派遣を行っていた」と供述しているという。
(2012年5月22日17時54分 読売新聞)
組員を原発に派遣「延べ100人以上」と幹部
東京電力福島第一原発に組員らを作業員として派遣したとして、労働者派遣法違反(禁止業務派遣)の疑いで逮捕された指定暴力団住吉会系暴力団幹部で福島県二本松市成田町、自称人材派遣業大和田誠容疑者(33)が、原発事故後の復旧工事に「延べ100人以上の組員を派遣した」と供述していることが、捜査関係者への取材で分かった。
県警によると、第一原発の復旧工事で暴力団関係者が逮捕されたのは初めて。大和田容疑者は昨年5~7月、組員や組の関係者計5人を作業員として派遣し、建設業務に従事させた疑い。電源を確保するケーブル敷設工事を行っていたという。
捜査関係者によると、工事は東電が大手の元請け企業に発注。大和田容疑者は末端の下請け先として組員らを派遣していたという。
調べに対し、大和田容疑者は容疑を認め、「2007年から他県の原発にも派遣していた。金に困っている一般の人も派遣していた」と供述。県警は、賃金の一部が暴力団の資金源になっていたとみて追及している。
東電は昨年7月、暴力団と判明した場合は無条件で契約解除できる条項を明記した契約書を導入した。今回の逮捕について東電は「報道は承知しているが、詳細については確認中」としている。
(2012年5月23日08時08分 読売新聞)