原発再稼働を目論み 節電効果をひた隠す呆れた電力業界に注意を怠ってはならない | 21世紀のケインジアンのブログ

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いよいよ節電冬の陣である。東日本大震災の影響で需給逼迫が深刻化したこの夏は、産業界や家庭の節電努力で危機を乗り切った。とりわけ貢献度が高かったのが、自動車業界の休日シフトだ。関係者によれば、その効果は実に五百万キロワットだという。自動車業界のみで実に原発5基分の需要を解消できたとは驚きだ、何故かこれに神経を尖らせているのが恩恵を被ったはずの当の電力業界で、その節電効果をひた隠しにしている。





 家庭の節電はそれほど大きくなく、貢献度は産業界の方ががはるかに大きい。それをことさら強調しないのは、家庭における「過酷な節電」の方が、原発必要論を演出するのに効果的だからだ。電力業界は今冬も節電要請を続ける。しかも、自動車業界の休日シフトはこの冬行われない予定である。節電のカラクリに気づかず、国民が音を上げるのを腹黒い電力業界は待っている。十分な監視が必要だ。

 電気事業連合会が今夏の需給状況を発表した九月十六日。このとき、八木誠会長(関西電力社長)の耳に五百万キロワットの数字は届いていたが、会見では「詳しい分析が終わっていない」と発表を避けた。電事連内部では「この数字を言えば原発不要論にすりかえられる」との意見が支配的だったためだ。厳密には、ピークが下がった際、電力量が抑えられるのは火力発電であり、原発ではない。だが世間はその説明には納得しないだろう。需給逼迫を乗り切るために原発が必要という理屈を立てていたのが、ほかならぬ電力業界だからだ。