アメリカの有名な投資家バフェット氏は先日の講演で
「アメリカの景気の二番底はあり得ない」。と語った。
これだけ、見れば、バフェット氏がメリカ経済の先行きに楽観的な見通しを
持っているという明るい話なのだが、そう単純に捉えて良い訳ではなさそうである。
アメリカが日本のようにデフレに陥るリスクも囁かれる昨今であるが、
この長期投資が信条のカリスマ投資家はデフレとは別のシナリオを持っている
ようである。
バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイの投資内容を見ると保有する米内外の債券の保有残高がじわじわと減っているのである。更に細かく見ると、保有する債券の残存期間も短縮化の傾向にある。
長期国債の保有残高を積み上げている日本の銀行とは対照的だ。
このバフェット氏の対応は、将来的なインフレへの準備を進めているのではないかと見られている。
それを裏付けるように、バフェット氏は一昨年8月の新聞への寄稿で、米財政悪化に伴うインフレへの懸念を表明している。
また、昨年、5月のバークシャー・ハザウェイの株主総会でも「世界中でインフレに陥る可能性がある」と警告している。景気の下支えを狙った巨額の財政出動などが、いずれ副作用としてのインフレを招くというシナリオであろう。
足元の経済状態は、まだ、インフレの状況にはない。しかしながら、厳しいマーケットの世界でバフェット氏が長年に亘って勝ち残ってきたのは長期的な投資眼に狂いがなかったかったからである。
私の個人的な見解は、遠くない将来の大きな景気の底割れ、そして、その後のハイパーインフレであるが、その前に起こりうるバフェット氏の予測の結果には十二分に注意を払いたいと思う。
そして、その時、大量の国債を保有する日本の銀行がどうなるかも大きな問題だ。