内容を忘れてしまいそうなので、メモとして書いている読書感想文。今回もひっそり更新です。


恒川光太郎『夜市』


「夜市」
主人公の女子大生が、友達の男の子に夜市に誘われます。何も知らずについて行くと、そこは普通の縁日とは違っていて…。

一つ目ゴリラなど、人ではない怪しいもの達が見たこともないものを売っている夜市。連れてきた目的を問いただすと、彼は子供の頃に弟と引き換えに「野球の才能」を買ったことを語ります。果たして弟を取り戻すことができるのか…。そして無事に夜市から出ることができるのか、というストーリー。

ジャンルはホラーになっていますが、ファンタジーかな。

シンプルで無駄のない文章は洗練されていてとても読みやすいです。また、見たこともない怪しい世界観を読者に容易に想像させてくれる表現力は見事!

もちろん内容も文句なく面白いです。夜市の不気味な雰囲気。弟と引き換えにしてしまった兄の苦悩。夜市の恐ろしさ…。

すっかり恒川(つねかわ)光太郎さんのファンになっちゃいました。



「風の古道」
夜市と共に綴られた作品。こちらは少年たちが不思議な道に迷い込むお話です。

その道はある住宅街にある道の1本裏にありますが、普通の人間には見えないし入れません。たまたまそこを見つけ、好奇心から足を踏み入れた2人。この世のものではない人たちが行き交う不思議な古道で、少年たちを待ち受けるものものは…。

ネタバレになるのでこれ以上書けませんが、こちらもかなり面白いです!少年たちの好奇心。普段通っている何気ない道の1本裏という近さなのに、全くの別世界である古道の恐ろしさや、そこに迷い込んだ主人公の心細さを巧みに描いています。

子供の頃に帰りが遅くなってしまい、見慣れたはずの道が別世界のように感じ、不安や恐怖を感じた経験は誰でもあるはず。そんな体験をもとにしたのかな?なんて想像しています。

好奇心から別世界に迷い込み、そこでの体験から大きく人生が変わる主人公たち。その世界は怪しいけれど美しく、時に恐ろしく、人を惹き付けて止まない不思議な力を秘めています。

どちらの作品も独特の世界観ですが、とても読みやすくサクサクいけます。かなりオススメウインク