誰もが、見えない檻の中にいます。
『どうやったらここから抜け出すことができるのだろう?』と終始考えながら日々を過ごしています。
ある時、あなたはポケットの中に鍵を持っていることを知ります。
しかし、あれだけ待ちわびた瞬間を迎えたというのに、足が動きません。
周りには、檻から出た人がいないのです。
それどころか、扉に近づく者すらいません。
誰も、自分が鍵を持っているだなんて考えもしないのです。
『きっと、誰かのいたずらだな。偽物にちがいない』
あれだけ不満を言っていた環境だったのに、実は居心地が良くなっている自分にここで初めて気がつきます。
つべこべ言わずに片足を踏み出せば、結論が出ます。
本音と建前、どちらの足でもいいのです。
そして鍵穴に鍵を差しかけたとき、あなたは衝撃の事実を知ります。
元々、鍵なんてかかっていなかったのです。
拍子抜けしてよろけた勢いのまま、走り出しましょう。
脱獄できない世界は存在しないのです。