今、ふと思い出したけど、
この間、クリニックにインフルエンザの予防接種を受けに来た90歳くらいのおばあちゃん。

針を刺した瞬間に、
「えってぇ〜!えてなぁ〜!(痛い!痛いな〜)」
って、眉間にしわ寄せてて…

すかさず、
「痛かったですね、もう終わりましたよ〜、痛い思いさせちゃってごめんなさい」
って言葉が出てきた。

そしたら、おばあちゃん、
ニコッて笑って、私の腕をとりながら、

「腹に子が居たのに、戦争行って父ちゃんが死んじまったことに比べたら、こんな痛み、屁でもねぇな」って…
笑いながらし処置室を出ていったんだけど…

私は涙をこらえるのに必死で…
いつもなら高齢の方には待合いまで一緒に歩くのに、出遅れた。
何か言わなきゃ、言いたいと思って、
もう一度、待合いに行って、帰り支度してるそのおばあちゃんに、
「お気をつけて、お元気で!」
って言うのが精一杯だった。

お腹に赤ちゃんがいて、
さぞかしお誕生を楽しみにしていたんだろうに、
お父ちゃんに抱かせたかっただろうに、
でも、そんなお父ちゃんは戦争に行ったきり、
帰っては来なかった、
その状況を想像しただけでも、
本当に息が上手くできないくらいに、
胸が締め付けられる感じがした。

きっと、あのおばあちゃんのこと、
今までも、今も、これからも、
お父ちゃん、みてくれてるだろうな。