鎧(よろい) | 伽想詩

伽想詩

愛するものは猫と本と花......そしてantique

✽これから書く事は全くの独り言なので意味不明かと思いますがご了承の上、お読み下さい✽


彼女は洋服をたくさん持っている

でもそれは薄くペラペラのものばかりで

体と心を温めてくれるような物は殆ど無い

彼女は冬になるとそのペラペラの上に重い鎧のようなカーディガンを羽織る

キラキラ光った糸で刺繍やビーズが散りばめられているのに

少しも美しくも温かくも無い

いつも重いばかりの鎧のようなカーディガン

その下には冷えきった体と心が隠されている

そうやって彼女は何年も何年も冬を越してきた

今年の冬も同じようにしていたら

寒くて寒くてある日突然倒れて体が動かなくなってしまった

そして目が覚めると知らない場所だった

そこは暖かくて人がたくさん居る所

白い服の女の人や虚ろな目をした人がいつも居る所

白い服の女の人はご飯を食べさせてくれたりトイレに連れて行ってくれたりする

彼女はそこが何処だか分からないし深く考えていない

ぼんやりと外を見たり昔の記憶を楽しんだりしている

彼女は今、幸せなのかも知れないし不幸なのかも知れない

ただ一つ言えるのはそこは鎧のようなカーディガンの必要の無い所

鎧も付けずに無防備に過ごせるのは彼女にとってやはり幸せな事なのかも知れない