真夏の夜の夢 | 伽想詩

伽想詩

愛するものは猫と本と花......そしてantique

寝ようと部屋の灯りを消す前に

もう一度部屋を見渡してしまう

そして階段を上がる前に

ふと振り返って見てしまう

ゆっくりと一段ずつ私の後を

グレイの愛しい子が付いてこないだろうか

先に待ってる私のベッドへ飛び乗ってこないだろうか

毎日の事なのにワクワクしながら待っていた

ふわっと飛び乗って「にゃん」と小さく鳴いて

少し頭を撫でてやるとゴロゴロ言いながら毛繕いをする

そうやって全身を私に委ねる体の温もりと

今、同じ場所に確かに居ると言う事を痛い程感じながら

とても幸せな気持ちで一日を終える事が出来た

だけど、もう私がいくらベッドで待っていても

どんなに名前を呼んでも

あの子が階段を上がってくる事は無い

少しは慣れたつもりで居たのに

まだ当分はあのベッドで眠る事が出来ない

願わくばもう一度だけ真夏の夜の夢を見させて欲しい


でもその夢は叶うはずも無い夢だと最初から分かっているけれど


そうか、未だにこんな事を考えてしまうと言うのも

真夏の夜の夢なのかも知れないな、と思う



$I will see again・また逢おうね