ご覧いただきありがとうございます。税理士のチヨです。
税理士・ファイナンシャルプランナーとして中小企業サポート、女性起業家支援を行っています。こちらのブログでは私の趣味である資産運用×子育て×マネー教育×ジェンダーについて発信しています。
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税理士をやっていると、いきなり税金や経営の相談をされることがあります。
基本的に知識を売っている士業は、世間話のように始まる結構深い内容の相談を好ましくは思っていません。
先日は顔見知り程度の方に、いきなり自分のビジネスの割と込み入った税金相談をされて困りました。
「これってどうですか?」→「〇〇かと思いますよ」
この程度ならいいのですが、この方、30分以上食い下がって聞いてくる…
立ち話ではこちらも責任をとることはできないので困ってしまいました。
聞いてみるとほかに顧問税理士がちゃんといるのに、私に無料で相談してきてることがわかりました…個別相談は私も有料ですー!
さて、そんな困った体験の中にも少し気付いたことがありました。
会話の一部を金額はフェイクで例に挙げてみます。
困った相談に1つの気付き
「今度節税対策も兼ねて飲食店を500万円で買おうと思ってるんです。会社の現預金は700万円あるんだけど、資金繰りがちょっと心配で、自分(社長)のお金を一時的に貸すのは税務的に問題あるかな?」
これは事業譲渡、いわゆるM&Aで飲食店を購入して新しく事業展開したいという話でした。飲食店は現在営業はしていない状態で、設備ごと買い取って自社で新規事業としてやっていこうと考えているようでした。
私は「社長のお金を会社に貸すことは問題ないですよ。でも手残り200万円が厳しいなら融資をうけたらいかがですか?」と言いました。
社長は「いや、借金までは考えてないんだよね」
・・・
ほうほうずいぶん経営に自信があるんですね、と私は心の中で思いました。
現在どんな仕事をしているか詳しくは知りませんが、おそらく在庫を持たず、従業員も雇ってないことはわかっていました。
店舗を設備ごと買い取って終わり?
お店を設備ごと買い取っても、機材が古くて使いづらかったり、新しく看板を付け替えたり等、予想外の出費はつきものです。
自分で店に立たずに人を雇って営業することを考えているようだったので利益が出なくても人件費を払う必要も出てくるでしょう。
いくら自分の貯金があるのかは知りませんが、リフォーム代+3カ月分の運転資金をせめて用意する必要があると私は思いました。
お金を貸してもらうのは意外に時間がかかる
実際にお金があと少しになってから融資を受けようと思っても遅いのです。
コロナのときならいざ知らず、今はそんなにすぐに融資は出ません。
審査まで1カ月、融資が出るまで1カ月で最低2カ月はかかるでしょう。
銀行からお断りされることもあります。
従業員に給料の支払いを2カ月待ってくれって言えますか?
従業員にも生活があります。
取引先に2カ月支払いを待ってくれって言えますか?
取引先もお金がもらえないと困るので待つでしょうが、信用がガタ落ちでしょう。
借金は絶対しないほうがいいのか?
会社を経営する上で借金をすることを過剰に嫌がってはいけません。
「無借金経営」
とてもいい言葉です。それができたらどんなにいいことでしょう。
でも少しでも資金繰りに不安があるなら融資を受けることを考えたほうがいいです。
手元にある現金は会社の生命線です。
0になれば倒産してすべてを失います。
自分のお客様には資金繰りが心配ならば、融資を受けたほうがいいとおすすめしなければと改めて思いました。
上記の相談者さんに関しては私も詳しい資料を見たわけでもなく、ちゃんとほかに顧問税理士もいるみたいでしたので深追いはせずに切り上げました。
有料で相談していただくと、私もお金のプロとして、たとえ相手と考えが違ってもぶつかることを覚悟で「こちらのほうがいい」とお伝えできますが、立ち話のお金の相談ではそれも叶いません。
無料で相談できてラッキーと思ってるのは勘違いということを知っていただけたらなと思います。