
今日、久しぶりに吉本ばななさんの「ハゴロモ」を読みました
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この本を買った当時、わたくしは20代後半に差し掛かった歳で
この本に出てくる主人公さながら
東京から、田舎へ
打ちひしがれて戻ってきたという境遇でした
私の地元は川の多い、冬は雪が降る街で、小説の舞台にとても似ていると思いました
主人公のような洒落た(?)失恋はしていなかったものの、似たような喪失感というか哀しみを握りしめていました
わたくしの場合は東京で頑張って働いたけれども犬の道で、生活を続けることができない焦りがあって、若干の心身症を抱えていました
地元に帰ってきて心療内科に通いながら、毎日実家の祖母の畑を手伝って、ときどき祖母を通院に送り迎えしたり
アルバイトを始めてみたり
少しずつ社会とつながっていこうとしているとき
この本を手に取ったんです
とても不思議な衝撃でした

読むと、
文章の優しさに包まれ、少し自分に似ている主人公と
それを回復に前進させていく新しい出会いに立ち会えて
登場人物の考えている事もわかる、わかる、となって
縁を身近に感じました
ばななさんの小説に出てくる人たちは少し変わってる
ちょっと変な?人たち、なんて思うこともあるけど
わたしの周りにいる人たちは割と
みんなこんな感じだ(言っていることが)
ばななさんの文体は情景がシンプルにすんなりと感じられて、スクリーンでそれをリアルに眺めているような既視感を抱かせてくれます
こういう場所があるかもな、と空想したことがある場所というか
独特の行間やテンポ、ゆったりとしたセリフのいいまわし、言葉が選ばれていて丁寧だからか、そこかしこがお洒落だったりハイソサエティに感じるけど
登場人物が考えてる事も言うことも、気づきに満ちていて生々しく感じることもあります
見えないものを見ようとすると、感じた空気でわかることがあるし、そうなると思ったらそうなる流れとかがわかる感覚です
わたしたちはどんな境遇でも守られているし、
守ってもいる
薬草のように、必ずなにかの役に立つ存在だし
因果応報というか、いつか自分がここにいる意味を知るときが来る
これでいいんだ
無理に働かなくていいんだ
休むときなんだ
そういうのを自分に照らし合わせて
ばななさんは何でこんなに私のことを知ってくれてるんだろう、などと自由で勝手な解釈をし
20代後半からずっとこんにちまで、ときどき何かに寄り添って欲しいと思うときは何度も何度も読みました
そのおかげで、わたくしはかなり回復しました
脳がほぐれたんだろうか
あのときは
劣等感に苛まれていたけど
あれでよかったんだと思えます
あのとき、ニートじゃなかったら、あんなにもゆったりとした時間を実家の(もう亡くなった)ばあちゃんと過ごせなかったし

たまに酷いこと言っちゃったりしたけど
祖母の愛を感じることができたので
わたしも生きている意味があると思えました
この本に救われた
おすすめの本です
ほんとにハゴロモみたいなカバーがついてて装丁も素敵で、しおりがわりに挟める表紙とか気が利いてます

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いまわたくしは、自分の好きなことで少しでも働きやすい環境が整いました

また変化はしていくと思いますが、気持ちは落ち着いています

どんなに行き詰まっても、新しい縁は素晴らしいギフトを持って現れ

また、無くなってしまったかもしれないと思っていた縁が再びやってきて、新しい気づきや築きをもたらしてくれたり
自分の心や体を無理なく健全に生かせる世の中になってきているように思えるのは
嬉しいことです

ばななさんの本から得た観念なしでは
今の自分に脱皮、または生まれ変われなかったです

ありがとうございますと言いたい

mimosa